F1、エンジン性能の均等化を検討へ…アルピーヌの「大幅に遅れを取っている」との主張を受け

アルピーヌA523をドライブするエステバン・オコン(アルピーヌ)、2023年7月23日F1ハンガリーGPCourtesy Of Alpine Racing

報道によるとルノーのバッジを掲げる自社製F1パワーユニットの出力がライバルメーカーと比べて劣っているとアルピーヌが主張した事を受け、F1第13戦ベルギーGPの初日に行われるF1コミッションでエンジン性能の均等化が議題に挙げられるようだ。

ルノー製エンジンはホンダやメルセデス、フェラーリに比べて15~25Kw (20~33馬力)ほど出力が劣っており、アルピーヌからの懸念の声を受け国際自動車連盟(FIA)が現行PUメーカーの性能分析を行った結果、議題に挙げられる事になったと英「AUTOSPORT」が伝えた。

アルピーヌは2022年のF1エンジン開発凍結期限に先立ち、性能の大幅な引き上げに向けてエンジンの大改良を行うというギャンブルに打って出た。これは、信頼性に関しては凍結後も変更が認められる一方、パフォーマンスに関する一切の開発は2025年末まで禁止されるためだ。

英「The Race」によるとアルピーヌのオトマー・サフナウアー代表は、ルノー製エンジンは競合メーカーに対して「大幅に遅れを取っている」と認め、開発凍結が合意に至った際に「誰かが1%を下回った場合には、同等性を取り戻すために誠意を以て議論するという事がエンジンメーカーの間でも合意されている」と説明した。

自らの非力を認める発言だが、これは必ずしもルノーに非がある事を認めているわけではない。

サフナウアーは「信頼性に見せかけてパワーを上げる方法はいくらでもある」と強調し、パフォーマンス目的の開発が禁止されたとは言え、理論的に言えば、信頼性を目的とした開発でも性能を上げる事は可能だと主張した。

均等化議論を訴えるアルピーヌに対してレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は「賢明な議論を避けるつもりはない」と述べ、真摯に耳を傾ける姿勢を見せた。サフナウアーは「クリスチャンはよくぞ言ってくれた」と歓迎した。

当初2023年に予定されていた開発凍結が前倒しされたのは、ホンダのF1撤退が大きな要因だった。ホンダはレッドブル及びアルファタウリへの撤退後の継続供給に合意したが、レッドブルは開発の手段を持ち合わせておらず、ルノーを含むライバルは全会一致で凍結に合意した。

エンジン性能の均等化についてはV8時代に先例がある。2009年、FIAは世界モータースポーツ評議会(WMSC)での議論を経て、各エンジンの性能に差が認められる場合、高性能なエンジンの性能を低下させる方向で均等化を行う事を容認する方針を示した。

F1ベルギーGP特集

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