マイアミ・インターナショナル・オートドロームでポジション争いを繰り広げるニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)とオリバー・ベアマン(ハース)、2025年5月3日(土) F1マイアミGPスプリント
Courtesy Of Sauber Motorsport AG

F1マイアミGP決勝直前情報: タイヤ戦略考と天気、スターティンググリッド

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日本時間5月4日(日)29時にスタートを迎える2025年F1第6戦マイアミGPのスターティング・グリッドが発表された。予選結果からの変動、予想されるタイヤ戦略と気象条件について見ていこう。

スターティンググリッド

今週末は9件の召喚状が発行されており、20台中12台がパワーユニット・コンポーネントを交換しているが、グリッド降格につながるペナルティはなく、現時点では予選順位がそのままスターティンググリッドとなる見通しだ。

今季3度目のポールポジションに着くのはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)。最前列2番グリッドにはランド・ノリス(マクラーレン)が並ぶ。角田裕毅(レッドブル・レーシング)は5列目10番グリッドに着く。

ターン1までの距離は比較的短く、コーナー自体も狭いため、2番グリッドからスタートするドライバーには、好スタートを決めることで主導権を握るチャンスがある。実際、スプリントではオスカー・ピアストリ(マクラーレン)がこの利を生かし、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)からトップの座を奪ってみせた。

以下は暫定スターティンググリッド。正式版との差異が発生した場合は更新される。予選結果からの変動値を合わせて記す。

Pos No Driver Team Qualifying
1 1 M.フェルスタッペン レッドブル・ホンダRBPT 1(-)
2 4 L.ノリス マクラーレン・メルセデス 2(-)
3 12 A.K.アントネッリ メルセデス 3(-)
4 81 O.ピアストリ マクラーレン・メルセデス 4(-)
5 63 G.ラッセル メルセデス 5(-)
6 55 C.サインツ ウィリアムズ・メルセデス 6(-)
7 23 A.アルボン ウィリアムズ・メルセデス 7(-)
8 16 C.ルクレール フェラーリ 8(-)
9 31 E.オコン ハース・フェラーリ 9(-)
10 22 角田裕毅 レッドブル・ホンダRBPT 10(-)
11 6 I.ハジャー レーシングブルズ・ホンダRBPT 11(-)
12 44 L.ハミルトン フェラーリ 12(-)
13 5 G.ボルトレート ザウバー・フェラーリ 13(-)
14 7 J.ドゥーハン アルピーヌ・ルノー 14(-)
15 30 L.ローソン レーシングブルズ・ホンダRBPT 15(-)
16 27 N.ヒュルケンベルグ ザウバー・フェラーリ 16(-)
17 14 F.アロンソ アストンマーチン・メルセデス 17(-)
18 10 P.ガスリー アルピーヌ・ルノー 18(-)
19 18 L.ストロール アストンマーチン・メルセデス 19(-)
20 87 O.ベアマン ハース・フェラーリ 20(-)

レースの模様はDAZNフジテレビNEXTで完全生配信・生中継される。

最速タイヤ戦略―依然1ストップが濃厚

フリー走行はFP1の1回のみ。加えてスプリントはウェットレースということで、3種類のスリックタイヤでのロングランデータは大幅に限られており、決勝レースに向けた戦略予測は極めて難しい。

ピエール・ガスリー(アルピーヌ)を追走するニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)、2025年5月3日(土) F1マイアミGPスプリント(マイアミ・インターナショナル・オートドローム)Courtesy Of Sauber Motorsport AG

ピエール・ガスリー(アルピーヌ)を追走するニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)、2025年5月3日(土) F1マイアミGPスプリント(マイアミ・インターナショナル・オートドローム)

それでもなお、ピレリは昨年同様、1ストップ戦略が主流になると見ている。戦略の幅を広げるためにピレリは今回、2024年大会よりも1段柔らかいコンパウンド(C3~5)を持ち込んでいるが、ピレリのモータースポーツ部門を率いるマリオ・イゾラは「理論上は1ストップ戦略が最も速い」としている。

シミュレーションでは「ミディアム(C4)からハード(C3)に繋ぐ1ストッパーが本命」とされており、最初のピットストップ・ウインドウは19~20周目あたりと予想されている。なお、昨年もミディアム(C3)→ハード(C2)の1ストップ戦略が主流となった。

一方、ハードで第1スティントを長く引っ張り、上位勢がピットインした隙にポジションを上げていく「逆張り戦略(ハード→ミディアム)」も有効な選択肢となる。昨年はルイス・ハミルトンがフェルナンド・アロンソがこのアプローチを採り、順位を上げることに成功した。

なお、レーシング・ブルズを除く9チームがハードを2セット温存しているが、これについてイゾラは「セーフティーカーや赤旗を想定した予備」であり、2ストップ戦略を念頭に置いた措置ではないとの見方を示している。

天候は再び”スパイス”となるか?

土曜日のスプリントでは、雨が混乱をもたらした。日曜の決勝レースも同じように、天候が展開を左右する“スパイス”となるのだろうか。

決勝スタート時刻、現地時間16時の降水確率は40%を超えており「雨時々晴れ」の予報となっている。レース終盤に向けて降水確率は若干、低下するものの、スプリント同様、断続的な雨が影響を及ぼす可能性は十分にある。

全車がインターミディエイトタイヤを履いたスプリントでは、特に右フロントタイヤの急速な摩耗が確認されており、同様のコンディションとなった場合、ドライバーたちは積極的に路面上の水たまりを探し、またペースをコントロールすることで、タイヤの冷却と保護に取り組む必要に迫られるだろう。

一方で、ひとたび雨が止めば、マイアミの路面は比較的早く乾くことがスプリントを通して明らかとなった。そのため、スリックタイヤへの交換タイミングが数周ずれるだけでもレース結果に大きな影響を及ぼす可能性が高く、ストラテジストには通常以上に正確かつ迅速な判断が求められる。

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