雨に濡れるニュルブルクリンク、2020年F1アイフェルGPcopyright Racing Point

F1アイフェルGP:混乱必至…初日フリー走行の消滅が予選と決勝を含めた残りの週末に与える影響

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7年ぶりにF1カレンダーに復帰したニュルブルクリンクでの初日は1日中冷たいに雨に見舞われたが、降水量としては多くはなく路面状況は良好で、コンディション的に言えば走行可能だった。

だが、濃い霧が医療用ヘリコプターの飛行を妨げたためピットレーンが開放される事はなく、2回のフリー走行は事実上の中止に追い込まれた。

怪我人が発生した場合に備えて、ガイドラインはFIA公認病院まで20分以内で搬送できるよう体制を整える義務を課しているが、ヘリコプターなしに最寄の病院までの約54kmの距離をカバーするのは不可能だった。

幸いにも土曜朝の現地上空には太陽が顔を出しており、ドライコンディションでのセッションが期待されるところだが、国際自動車連盟(FIA)は濃霧のために消滅した初日のような状況を防ぐべく代替案を検討している。

レースディレクターのマイケル・マシは「週末の残りは天候が改善しそうだが、同じような状況になった場合に備えて、いくつかのバックアッププランを考えている」と説明した。計画されている案の一つは、病院までの行程の全てをヘリに担わせるのではなく、濃霧で飛行できない区間は車で、残りはヘリでという”ハイブリッド搬送”だ。

初日全てを失ったダメージは如何ほどか?

これがカタロニア・サーキットやシルバーストーン・サーキットといった毎年カレンダーに登場し、ドライバーやチームが嫌というほど知り尽くしたコースであれば大きな問題とはならないだろうが、ニュルで最後にF1が行われたのは2013年で、現行V6ハイブリッドターボエンジンでの開催は今回が初めてだ。理想的とは程遠い。

フェラーリやマクラーレン、ウィリアムズなど多くのチームは新しいパーツを持ち込んでいた。本来であれば初日フリー走行を使って評価を行い、2日目以降で使用するかどうかを見定めるわけだが、予選前最後のFP3は僅か60分間であり、テストを行う事は非常に厳しい。

例えば、フェラーリはディフューザー周りのアップグレードを持ち込んでいるが、シャルル・ルクレールはFP3をパーツのテストに費やすのか、それともセットアップ作業に費やすのかを決めかねている事を認めている。この状況はどのチームにも当てはまる。チーム毎にプログラムが大きく異る事も予想されるだけに、通常のFP3とは違った視点で観戦してみると面白いだろう。

セルジオ・ペレスにとって、アップグレードされたRP20を走らせるのは今回が初めてだ。僚友ランス・ストロールが2戦前から使っているパッケージはペレス曰く「まったく新しいマシン」との事で、自信を以て限界までプッシュし、その性能を全て引き出すためには十分な走り込みが欠かせない。

プラクティスのための時間が60分のみという事実は、もしミスをしたり、技術的なトラブルで走行が制限されるような事になれば、取り返しがつかないほどの大きな痛手となるという事をも意味する。

予選そのものも慌ただしくなるだろう。非常に低い路面温度が予想されるため、アウトラップ1周のみではタイヤを温めきる事が難しいかもしれない。この場合コース上の至る箇所に渋滞が発生する。ニュルはコース幅が狭く、トラフィックによる影響が大きく出る恐れがある。

FP3と予選がスムーズに終わったとしても、レースが滞りなく終わるとは限らない。チームはセットアップやレース戦略などを決定するための十分なデータがないままに日曜日を迎える事になる。ニュルでF1マシンを走られた事のあるドライバーは限られており、F1史上最も寒いレースの一つとなる可能性もある。

とは言え前向きに捉えれば、これはイモラでのエミリア・ロマーニャGPに向けた良い予行練習とも言える。ポルトガルとトルコを含めた3連戦として行われるイモラのイベントは2デイ制だ。アルファタウリ・ホンダのダニール・クビアトは「凄く似た状況になる?いやいや、この状況は完全にイモラと一緒だよ」と語った

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