マックス・フェルスタッペンのピットストップ作業を行うレッドブル・ホンダ、2021年3月28日のF1バーレーンGP決勝レースにて
Courtesy Of Red Bull Content Pool

F1:レッドブル批判のピットストップ新ルール、”自動化制限規定”を一部変更して発効を延期

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国際自動車連盟(FIA)は第11戦ハンガリーGPで発効を予定していたピットストップに関する改定ルールの一部規定を変更した。更にチーム側に対処の時間を与えるために、発効も夏休み明けの第12戦ベルギーGPまで延期した。

FIAは安全性向上という名目で、第8戦シュタイアーマルクGPの開幕を前に新たなテクニカル・ディレクティブ(TD)を各チームに通達した。これはジャッキ操作の前後の作業に”最小時間”を設定するもので、ピットストップに掛かる時間が少なくともコンマ数秒遅くなる事が予想されていた。

これに対し、この分野のベンチマークであるレッドブル・ホンダを含む幾つかのチームが批判を展開。クリスチャン・ホーナー代表は、ライバルが自分達を貶めようとしている事は間違いないとの認識を示した上で、次のように訴えた。

「F1という世界はイノベーションと競争で成り立っている。2秒以下でピットストップをこなすというのは驚くべき偉業で、本来であれば奨励すべき事なのだ。コントロールしようとすべき対象じゃない」

ピットストップに際しては、ホイールナットが固定された事を確認したクルーがジャッキリリースボタンを押すことでジャッキを下ろす事ができるが、実際に固定が確認できていない段階でもボタンを押す事は可能だ。

ここでポイントとなるのが、中にはホイールの固定状態をセンサーで自動チェックするシステムを持つチームがあるという点だ。こうしたシステムを用いると、自動での固定確認が完了次第、ジャッキダウンを許可する信号を、これまた自動的に出す事が可能となる。

手動の場合、ホイール固定を確認してから指を動かしてボタンを押すまでには、幾ら頑張ってもコンマ数秒を要する。だが、自動システムを使えばこうした人間の反射神経の限界値分を短縮する事が可能になる。

RaceFansが伝えたところによるとTD022Bと呼ばれる改訂版のTDでは、ホイールの固定が確認されない段階でジャッキリリースボタンを押す事が禁止されるという。正確には禁止ではなく無効であり、この場合は固定確認後に再度ボタンを押す必要がある。

またこれに伴い、以前のTDで設定されていたホイール固定完了~ジャッキダウン開始間の0.15秒という最低作業時間は削除されたようだ。

シーズン途中にこうしたルール変更が行われる事となった理由の一つは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックに伴うコスト削減策として導入されたホモロゲーションの影響があるものと思われる。

ホイールガンやジャッキ、及びこれに関するソフトウェア等のピットストップに関わる機器は、セットアップ上の理由で許可された調整を除いて2020年9月30日にホモローゲートされており変更する事ができない。

つまり開発禁止が解除される来年になれば、恐らくは全チームが同様の自動システムを導入してチーム間格差が解消される事になるだろうが、こうしたシステムを持たないチームは来年まで手をこまねいて見ているか、あるいはFIAに働きかけるかの2択しかない。

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