F1のドメニカリCEO「箝口令を敷く事は決してない」FIA検閲ルールを巡り
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物議を醸す国際自動車連盟(FIA)の”検閲ルール”についてF1のステファノ・ドメニカリ最高経営責任者(CEO)は、「F1は誰に対しても決して言論を統制することはない」と強調した。
F1を統括するFIAはオフシーズンが到来した昨年末、2023年の国際スポーツ競技規則(ISC)を改定し、事前の許可なくドライバーやチームが「中立性の一般原則に著しく反する政治的、宗教的、および個人的な声明や意見」を表明する事を禁止した。
何処までが「中立的」なのか。何を以て「政治的」とみなすのか。「個人的」とは何を指すのか。
曖昧であるがゆえに、FIAの気分次第でドライバーのあらゆる行動・発言が制裁の対象となりうる危険性を孕むこの規定は議論と反発を呼び、バルテリ・ボッタスやマックス・フェルスタッペン、アレックス・アルボンや引退したセバスチャン・ベッテルらが反対の意向を示している。
制定から1ヶ月以上を経てドメニカリは英紙「ガーディアン」とのインタビューの中で次のように述べ、言論の自由という点でF1は寛容なスタンスを崩すつもりはないと明言した。
「F1が誰かに箝口令を敷くことは決してない。誰もが話をしたい事があるわけで、適切な方法で言いたいことを言えるプラットフォームがあるに越した事はない」
「F1はますますグローバル化しており、多文化かつ多価値なスポーツになりつつある」
「20人のドライバー、10チーム、そして数多くのスポンサーは様々なアイデア、異なる見解を持っている。どれが正しく、どれが間違っているとも言えないが、必要に応じてオープンな形で意見を交わす場を提供するのは正しいことだ」
「我々はその姿勢を変えるつもりはない。攻撃的な口調や不快感を与えるのではなく敬意をもって誰もが適切な方法で発言する機会を与えること、それが我々のスポーツの方針であるべきだ」
この件に関してドメニカリは、F1ドライバーやGPDA(F1ドライバー組合)と連絡を取り合っている事を明かした上で、近いうちにFIAがその立場と考えを明確にする場を設けるだろうとの期待を口にした。
「我々が話しているのはレギュレーションについてだ。そしてそれを監督しているのはFIAだ」とドメニカリは語る。
「特定の場での発言が禁止されるという事について、FIAは今後、既に述べられていることを明確にしてくれるだろう」
ドメニカリは最終的に、FIAがF1と同じ見解を共有する事になるだろうとしながらも「彼らはオリンピック連盟の一員であり、遵守しなければならない規約がある」と付け加えた。
FIAは2011年以来、国際オリンピック委員会の公認連盟という立場にあり、オリンピック憲章を遵守する事が求められている。
規定改正についてFIAは「国際オリンピック委員会(IOC)の倫理規範にうたわれているオリンピック運動の普遍的かつ基本的な倫理原則としてのスポーツの政治的中立性、そして第1条2項に定められた普遍性の原則に沿う形で更新された」と説明している。