犬の乱入で混乱に陥ったF1バーレーンGP「…ロスコーじゃないよね?」愛犬を案ずるルイス・ハミルトン
11月27日に行われたF1第15戦バーレーンGPの2回目のプラクティスでは、アレックス・アルボン(レッドブル・ホンダ)のクラッシュによる赤旗からの再開直後にコース上に犬がいる事が確認されたため、再びレッドフラッグが振られる事態となった。
12分間に及んだマーシャルによるコースのデブリ清掃と大破したマシンの撤去作業を経てグリーフラッグが振られると、8台のマシンが同時にコースインしたが、ルノーR.S.20をドライブしていたダニエル・リカルドがコース上に犬がいると報告。レースコントロールは再びレッドフラッグを提示した。
Session 'Paws-ed' in Bahrain 🐶 🐾#BahrainGP 🇧🇭 #F1 pic.twitter.com/Ml4F4CUg0r
— Formula 1 (@F1) November 27, 2020
チームからの無線で赤旗の事情を知ったメルセデスのルイス・ハミルトンは「ロスコーでないと良いんだけど」とこぼした。
ハミルトンはイングリッシュ・ブルドッグのオス犬を”ロスコー”と名付けて溺愛している。レース週末は必ず同伴でサーキットに現れ、彼のソーシャルネットワークの投稿はロスコーで溢れる。一件ジョークのようにも思われるが、愛犬に対するハミルトンの愛情の深さを思えば心配の表れと捉えるべきだろう。
幸いにもこの迷い犬は、最終的にサーキットから無事に逃げおおせる事に成功し、セッションは数分後に再開されたが、この予期せぬ事態に対してセバスチャン・ベッテルはピットレーンに戻る途中、バハ・メンの2000年の名曲「Who Let The Dogs Out(誰が犬を逃がしたんだ?)」を口ずさみ、「犬をパドックに入れて良いのを知ってたら、僕も自分の犬を連れてきたのに」と、こちらは冗談を飛ばした。
ここで1つの疑問がよぎる。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策で入場が厳しく制限されている中、ロスコーはどうしてパドックに入る事ができているのだろうか?
今はもう亡くなってしまったが、ハミルトンはかつてロスコーと共に”ココ”という名のブルドッグを飼っていたのだが、同じく犬好きであった当時のF1の総裁であるバーニー・エクレストンが直々に、彼ら2匹にパドックパスを発行したという事実はよく知られている。
しかしながらF1スポーティング・レギュレーション第22条17項は「警備を目的としてFIAが明示的に許可した場合を除き、コース上、ピットレーン、パドック、観客エリアに動物を持ち込むことを禁止する」としている。
いつからこの条項が存在しているのかは定かでないが、今回とは異なり、マシンとぶつかった事でこの世を去った犬の事が思い出される。
F1のサポートレースとしてイスタンブール・パーク・サーキットで開催された2008年のGP2レースでは、ブルーノ・セナがコース上に迷い込んできた2匹の犬のうちの1匹を轢き殺してしまい、右フロント・サスペンションが破損したことでリタイヤを強いられるアクシデントが発生。一件はFIAがサーキット側の安全対策を厳しく問題視した事で話題となった。