アンドレッティ梯子外しかそれとも…F1、GMにアプローチ
国際自動車連盟(FIA)がアンドレッティ・キャデラックの新規F1参戦計画を承認した事を受けF1首脳陣は、アンドレッティ以外のチームとの提携の可能性をゼネラル・モーターズ(GM)に問い合わせたようだ。
1978年のF1王者、アメリカンモータースポーツの雄マリオ・アンドレッティの息子で、インディカーのアンドレッティ・オートスポーツのオーナーでもあるマイケル・アンドレッティは長年に渡ってF1グリッドを追い求めてきた。
だが、そのたびにパドックやチーム、F1幹部に拒絶されてきたことからF1側の要求に応えるかのように、プロジェクトに米国の巨大自動車メーカーを引き入れ、今年初め、GM傘下の高級車ブランド「キャデラック」との提携を発表した。
FIAは、キャデラックを伴い2025年以降のF1参戦入札に応募したアンドレッティの計画を承認した。次に控える最後のハードルは、F1の商業権を持つフォーミュラ・ワン・マネジメント(FOM)との商業的協議だが見通しは芳しくない。
FIAの承認を経てF1が公式に発したメッセージは「(アンドレッティの)申請のメリットを独自に評価する」との素っ気ない一言のみで、既存チームの大部分は分配金の希薄化などを理由に、依然として批判的な立場を貫いている。
こうした状況の中、モータースポーツ・ジャーナリストのジェナ・フライヤーはAP通信のコラムの中で「F1がゼネラル・モーターズに、アンドレッティ以外の誰かと組むかどうか尋ねたことを、この会話を直接知る3人の関係者が認めた」と綴った。
コンテキスト全体が明らかにされていないため、これが何を意味するのかは明確ではない。アンドレッティからGMを強奪しようとしているとも読み取れるが、例えばアンドレッティの参戦が叶わなかった場合、GMが提携先を他チームに切り替える意思があるのかどうかを単に確認したとも読み取れる。
ただこれは「アンドレッティは、F1から締め出されていることが実際には個人的な問題であると主張できる」というジェナ・フライヤーの意見を裏付けるための説明として書かれているため、他チームとの提携の可能性を「尋ねた」というよりは「打診した」「提案した」と訳すべきかもしれない。
アメリカのメディア関連企業、リバティ・メディアを親会社とするF1は、オースティンに加えてマイアミとラスベガスをカレンダーに組み込むなど、アメリカ市場を重視しており、アンドレッティへの塩対応はこうした姿勢と矛盾しているように見える。
F1がアンドレッティの参戦に否定的な理由はイマイチ明確ではない。
首脳陣はアンドレッティの参戦により、財政の悪化に見舞われグリッドから姿を消す既存チームが出てくるのではとの懸念を抱いている。ただ理由はそればかりではないようだ。
他の応募者とは異なりアンドレッティはこれまで、公の場で積極的にロビー活動を繰り広げてきた。チームともどもF1首脳陣はこれに好印象を持っていないとされる。また、以前ほど関係が良好ではないFIAのモハメド・ベン・スレイエム会長が参戦支持のスタンスをファンにアピールしている事も一因ではと囁かれている。
ジェナ・フライヤーはコラムの中で、アンドレッティに対するF1の拒否反応は単に金銭的な問題というよりは「個人的なもの」のようだと書き、何らかの私怨が理由である可能性に触れている。