フェラーリのF1技術責任者、エンリコ・カルディーレが辞職
アストンマーチンへの移籍が噂される中、F1イギリスGPの決勝翌日にスクーデリア・フェラーリは、シャシー部門のテクニカル・ディレクター、エンリコ・カルディーレが辞職したと発表した。
後任は決まっておらず、チーム代表のフレデリック・バスールが暫定的にシャシー部門を監督する。
カルディーレの今後については明らかにされていないが、2026年のホンダワークス化に向け積極的にヘッドハンティングを進めている英国シルバーストンのチームへの移籍が取り沙汰されている。
アストンはテクニカル・ディレクターとして元レッドブルのダン・ファローズを起用し、先週はグループCEOに元メルセデスのエンジンスペシャリスト、アンディ・コーウェルを起用すると発表した。
フェラーリと並びアストンは、レッドブルの最高技術責任者(CTO)を務めるエイドリアン・ニューウェイにも目をつけており、シルバーストンにある最新鋭のファクトリーへと招待し、チームオーナーでカナダ人大富豪のローレンス・ストロールが直に説得を試みたとも噂されている。
ただしレッドブルとの契約上、9月になるまでニューウェイは他チームとの契約を発表することが許されていないと考えられており、近々に状況のアップデートがアナウンスされる可能性は乏しい。
イタリア・トスカーナ州アレッツォに生まれたカルディーレはフェラーリ一筋にキャリアを歩んできた。
フェラーリの風洞をテーマにした論文を書き、2002年にピサ大学で航空工学の学位を取得すると、卒業後も3年間に渡って大学に残りフェラーリとの共同研究に参画。2005年にマラネッロに入社し、空力面を監督する立場としてGTプロジェクトに従事した。
2016年にはエアロ開発責任者としてF1を担うゲスティオーネ・スポルティーバ部門に加わり、翌年には車両プロジェクトマネージャーに就任。2019年にマッティア・ビノットがチーム代表に就任すると、エアロ開発責任者と車両プロジェクトマネージャーの兼任を命じられた。
更に2020年8月には、新たに設立されたパフォーマンス開発部門の責任者に就任。2021年1月1日からは新設のシャシー部門責任者を兼任し、2023年にシャシー及びエアロ部門のテクニカル・ディレクターに任命された。