電動ファンカー「マクマートリー・スペアリング」を駆るマックス・チルトン、2022年6月26日グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード
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動画:現実離れした動き…電動ファンカー「マクマートリー・スペアリング」がグッドウッド最速を23年ぶりに更新…MP4-13破る

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ニック・ハイドフェルド駆るマクラーレンMP4-13が23年間に渡って保持していたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードの公式最速記録が遂に破られた。2022年6月26日のイベント最終日に、39秒08という驚異的なタイムでヒルクライムを駆け上がったのはマックス・チルトン駆るマクマートリー・スペアリング(McMurty Speirling)だった。

この超小型EVスポーツを開発したのは英国グロスターシャー州の新興メーカー「マクマートリー・オートモーティブ」だ。これにはEV版ゴードン・マレーとも呼ぶべき「ダウンフォース・オンデマンド・システム」が搭載されており、ファンを駆動させる事で驚異的なダウンフォースを生み出す。

今年より開発ドライバーとしてマクマートリーに加入した元F1ドライバーのチルトンは、イベント初日に非公式ながらも41.2秒を記録。全くプッシュしていなかったとの発言が正しかった事を裏付けるように、日曜午後に行われた公式タイムアタックでは39秒14という驚きのラップを刻んだ。

これは1999年にハイドフェルド駆るマクラーレンMP4-13が記録した41.6秒を打ち破るレコードで、同じEVであるフォルクスワーゲンI.D.Rがロマン・デュマのドライブの下、2019年のプラクティスで刻んだ39.9秒をも上回るものだった。

技術諸元はまだ完全に明らかにされていないが、見ての通り車体は驚くほどに小さく、全長は3200mm、全幅は1500mmで、パワーウェイトレシオは1000馬力/tと、あのブガッティ・シロンを40%上回るという。実際、0-300 km/h加速は僅か9.0秒というから驚きだ。

何しろ2基のファンにより強制的にフロア下から空気を吸い出すのだから、低速域でのダウンフォースは当然、F1マシンを凌ぐ。停止状態であの超小型マシンに掛かる下向き方向の力は2トンにも及ぶ。動画で明らかなように、このクルマの動きは控えめに言っても狂っている。