
推定960億円―エクレストンの伝説的F1マシン蒐集、レッドブル後継者マテシッツの手に
元F1最高責任者のバーニー・エクレストンが、長年所有してきた貴重なF1マシンコレクションをレッドブル創業者、故ディートリッヒ・マテシッツの息子であるマーク・マテシッツに売却した。取引額は非公表だが、一部報道では約5億ポンド( 約958億円)と推定されている。
世界的価値を持つ69台のF1マシンが新たなオーナーの元へ
Courtesy Of Ferrari S.p.A.
フェラーリF2002を駆るミハエル・シューマッハ、インディアナポリス・モーター・スピードウェイで開催された2002年のF1アメリカGPにて
エクレストンが所有していたF1マシンは、1950年のF1世界選手権創設時からの歴史的なモデルを含む69台に及ぶ。中でも注目されるのは、以下のマシンだ。
- アルベルト・アスカリが1951年イタリアGPで優勝したフェラーリ375F1
- マイク・ホーソーンが初の英国人F1王座を掴んだ1958年フェラーリ246
- ニキ・ラウダが1978年スウェーデンGPで優勝した伝説の「ファンカー」ブラバムBT46B
- ミハエル・シューマッハが2002年に駆ったフェラーリF2002
これらのマシンは、イギリス・ビギンヒル空港の格納庫に保管されていたが、一般公開されることはほとんどなかった。
売却の理由とエクレストンの想い
政府系ファンドからの関心にもかかわらず、エクレストンのコレクションは故マテシッツの莫大な遺産を相続した息子に売却され、マーク・マテシッツはコレクションを一般公開することを約束した。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
引退レースを前にレッドブルの共同創業者である故ディートリッヒ・マテシッツの息子マーク・マテシッツからモデルを贈呈されるフランツ・トスト代表(アルファタウリ)、2023年11月26日(日) F1アブダビGP(ヤス・マリーナ・サーキット)
かつてのF1の支配者も今年10月に95歳の誕生日を迎える。エクレストンは、「このコレクションが適切な場所に収まることが重要だった。どこに行くのかが分からないまま売るつもりはなかった」と語り、マテシッツがコレクションを適切に管理し、将来的に一般公開する計画であることを強調した。
また、「私は94歳で、運が良ければあと数年は生きられるかもしれない。しかし、もし私がいなくなった時に妻のファビ(ファビアナ・エクレストン)がどう処理すればいいのか迷うことがないようにしたかった」と、売却の背景を説明している。
マテシッツの今後の計画
マーク・マテシッツは父ディートリッヒ・マテシッツの死後、レッドブルの49%の株を相続し、現在はその経営にも関わっている。彼はこのコレクションについて次のように述べた。
「バーニーがこの歴史的に重要なコレクションの管理を私に託してくれたことを光栄に思う。これらのクルマは丁重に保存され、今後も拡充される予定だ。近い将来、適切な場所で一般公開する計画を進めている」