写真撮影に臨んだF1ドライバー達、2020年F1バルセロナテスト初日copyright Renault Sport

批判と不満噴出「F1 2020」ドライバー評価、ルクレールも疑問呈す

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PS4ゲーム「F1 2020」に実装される「ドライバーレーティング」の数値が適切か否かを巡って論争が巻き起こる中、スクーデリア・フェラーリのシャルル・ルクレールは「一部のドライバーの評価点は適切とは思えない」として疑問を呈した。

4つの指標でドライバーの腕を数値化

F1公認ゲームの最新作「F1 2020」の”キャリア・モード”と”マイチーム・モード”には、速さやレースの腕前など、個々のドライバーの能力を数値化した「ドライバーレーティング」がシリーズ初搭載される。これは各ドライバーを「経験」「レースクラフト」「アウェアネス」「ペース」の4つの指標に基づいて1~99点で採点し、総合スコアを算出するものだ。

開発元のコードマスターズの説明によると、各パラメーターは以下のような意味を持つという。

  • 経験…マシン開発に関連、高いほどアップグレードに必要な「リソースポイント」を効率的に集める事が出来る
  • レースクラフト…オーバーテイクに関連したスコア
  • アウェアネス…過酷な状況下であっても車のコントロールを失う可能性が低くなる
  • ペース…純粋な速さ

今季グリッドに並ぶ全20名のドライバーレーティングを以下にまとめた。並びは総合スコア順だ。

ドライバー
チーム
総合 経験 レースクラフト アウェアネス ペース
ルイス・ハミルトン
メルセデス
94 89 93 95 96
バルテリ・ボッタス
メルセデス
90 71 89 99 91
マックス・フェルスタッペン
レッドブル
90 68 94 84 96
セバスチャン・ベッテル
フェラーリ
89 88 89 81 94
ダニエル・リカルド
ルノー
87 76 90 86 90
キミ・ライコネン
アルファロメオ
87 98 84 91 83
シャルル・ルクレール
フェラーリ
86 56 92 82 93
セルジオ・ペレス
レーシングポイント
85 78 91 80 86
カルロス・サインツ
マクラーレン
82 65 88 81 84
ピエール・ガスリー
アルファタウリ
80 53 85 87 80
ダニール・クビアト
アルファタウリ
80 63 86 74 85
ロマン・グロージャン
ハース
80 75 81 77 83
エステバン・オコン
ルノー
80 54 90 79 82
アレックス・アルボン
レッドブル
79 52 87 78 83
ランド・ノリス
マクラーレン
79 52 89 78 80
ランス・ストロール
レーシングポイント
78 57 86 73 83
ケビン・マグヌッセン
ハース
78 65 79 73 83
ジョージ・ラッセル
ウィリアムズ
75 52 73 78 80
アントニオ・ジョビナッツィ
アルファロメオ
73 47 73 70 79
ニコラス・ラティフィ
ウィリアムズ
64 32 60 80 64

一部レーティングに不満と批判

お気に入りのドライバーのスコアが不当に低いと感じるファンが不満を訴えるのは自然の成り行きと言えるが、レーティング表を投稿したF1公式及び公式ゲームTwitterアカウントへのリプライを見る限り、炎上とまでは言わないまでも、ある特定のレーティングに感銘を受けていないファンが少なくない事は間違いなさそうだ。

例えば、2007年のF1ワールドチャンピオンであるキミ・ライコネンのレースクラフトは「84」だが、これは昨季チームメイトにダブルスコアで破れたランス・ストロールの「86」よりも低く、また、ルクレールよりも多くのF1出走回数を誇るピエール・ガスリーが「経験」でより低い値を与えられているなど、確かに違和感を感じるものや、評価方法の妥当性への疑念を生むようなものも散見される。

ファンと交流するアルファロメオ・レーシングのキミ・ライコネン
2019年シーズンのドライバーランキングでライコネンは43ポイントの12位、ストロールは21ポイントの15位だった

特に批判的な意見が多いのがメルセデス及びフェラーリドライバー周りのレーティングだが、ファンはソーシャルメディアや掲示板で疑問の声を投げかけたり、過去のレジェンドドライバーを持ち出して独自のレーティングを公開したり、自身が考えるスコアランキングを投稿して賛同を求めたりしている。

ラッセルの過小評価を指摘するルクレール

当のドライバーはどう捉えているのか? ルクレールは言葉を選びながら真剣な面持ちで「幾つか見てみたけど、、、僕に言わせれば適切とは言えないものも混じっているね。。。例えば、、僕はジョージ(ラッセル)の評価があまりに低いように感じた。きちんとしたマシンに乗れば、彼は最高に速いからね」と語り、首を傾げる評価がある事を認めた。

ルクレールが「最高に速い」と太鼓判を押すラッセルのペースは「80」で、彼より遅いドライバーはアントニオ・ジョビナッツィとニコラス・ラティフィの2名だけだ。

ウィリアムズのジョージ・ラッセル、2019年F1スペインGPにて
ラッセルはF1デビューイヤーの昨年、対予選成績でロバート・クビサに全勝した

算出方法や使用データの説明なく

疑問と不満の噴出は避けられなかったと言える。というのも、レーティングという手法が本質的に持つ残忍性もさることながら、「複雑過ぎる」という理由で計算方法や使用したデータの内容など、詳細が一切明らかにされていないからだ。コードマスターズは「現実世界の大量のデータを元に計算した」とのみ説明している。

事細かに開示する必要はないだろうが、数値の開示に合わせて少なくとも大まかな説明がなされていれば、納得とまではいかなくともファンの理解を一定程度は得られたのではないだろうか。

スコアリングに際しては、過去シーズンよりも今シーズンのデータを高く評価する加重平均のような類の算出方法を採用しているのではないかと思われるが、こうした点について何も説明がなければ、過去に選手権を制覇した経験を持つベテランよりも無冠のドライバーの方が高評価となってしまう事態への理解を得る事は難しいだろう。

また、「ドライバーレーティング」という響きからは、ドライバーの腕を純粋に評価した際のスコアをイメージしてしまうが、実際の数字にマシンの競争力が大きく影響している事は明らかで、こういった点のフォローもなかった。ましてや本レーティングの導入で「リアリズムは次のステージに到達する」とF1が公式に述べている点も、批判が噴出した原因の1つかもしれない。

なお、公表されているドライバーレーティングはデフォルト値であり、ゲーム内でのシーズンの経過に合わせて定期的に変化するとの事だ。

2020年シーズンF1世界選手権の公式ビデオゲーム「F1 2020」は、PlayStation4、Xbox One Xを含むXbox Oneファミリー、Windows PC(DVDとSteam経由)、そしてGoogle Stadiaに対応し、2020年7月10日(金)に発売される。

追記:記事公開後に発表された”マイチーム”機能の説明の中で「過去5シーズン分のF1およびF2の包括的実戦データ」に基づき算出されたものである事が新たに明かされた。つまりは、ライコネンやセバスチャン・ベッテルがタイトルを獲得した事実はレーティングに反映されていないという事のようだ。