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一時は撤退の可能性も出ていたホンダF1だが、来季はマクラーレンと手を切りトロ・ロッソにエンジンを供給、2018年もF1に参戦する可能性が濃厚となった。
複数の欧州メディア及び情報筋が伝えたところによると、F1に参戦するスクーデリア・トロ・ロッソがレースドライバーを務めるカルロス・サインツを放出、ルノー・スポールF1への移籍が内々で合意されたという。現在ルノーのレースドライバーを務めるジョリオン・パーマーはシートを失う見通しだ。
ホンダを望んだレッドブル
ルノーは、マクラーレンにエンジンを供給する見返りとして、サインツの移籍を要求していたとされる。マクラーレン・ホンダを巡る一連の騒動に一見無関係なトロ・ロッソだが、チームを所有するレッドブルは同チームへのホンダエンジン搭載に積極的であったようだ。中堅の雄はルノーの要求を呑む代わりに、ホンダエンジンとマクラーレン製ギアボックスを得る見込みとなった。
仮にホンダがF1を撤退した場合、マクラーレンは無条件にルノーエンジンを希望できるため、ルノーがトロ・ロッソに条件を突きつける道理はなくなる。そのため、サインツの移籍はホンダが来季以降もF1に留まり、トロ・ロッソに対してエンジンを供給することの強い現れと言える。
FIA国際自動車連盟が介入してきたことで、ホンダが今季限りでF1を撤退する可能性が浮上したものの、事態は参戦継続に向けて一転した。マクラーレン・ルノーとトロロッソ・ホンダ誕生の正式発表は秒読み段階に入ったと言えそうだ。
ルノー製パワーユニットを得ることによって、フェルナンド・アロンソがマクラーレンに留まるのはほぼ確実な情勢となった。アロンソはホンダを批判し続けており、本人は否定したものの、来季もホンダを継続するのであればチームを離脱すると仄めかしていた。
英Autosportによれば、サインツの移籍契約は2018年から有効となる見通しである一方、早ければマレーシアGPでサインツがルノー入りする可能性もあるという。今年数々のマシントラブルに見舞われているパーマーは、チームメイトのニコ・ヒュルケンベルグが34ポイントを獲得している一方で0ポイントに留まっている。
トロロッソ・ホンダ誕生を示唆するガスリー
9月10日(日)に行われたスーパーフォーミュラ第5戦オートポリス、優勝を果たしたピエール・ガスリー(チーム無限)は「数日中に何かニュースがあるかもしれない。マレーシアで走れたら良いね」とシーズン中のトロ・ロッソ昇格の可能性を匂わせた。AS-WEBが伝えた。サインツの穴を埋める有力候補は、レッドブル育成ドライバーにして今年から日本のトップフォーミュラで戦うガスリーのみ。ガスリーの発言は、ホンダとトロ・ロッソの提携を暗示している。
今季2勝目を挙げたガスリーはランキングでも2位に浮上、前戦もてぎから導入されたソフトタイヤの妙もあり、立て続けに勝利をかっさらっている。無限の監督を務める手塚長孝は「ピエールを勝たせなきゃという想いがあった」と心の内を明かした。
松下信治のトロ・ロッソ起用
ジャーナリストのジェニー・ガウによれば、トロ・ロッソはホンダとのパートナーシップを心から歓迎しており、ホンダはF1に日本人ドライバーを復活させることに期待を寄せているという。マクラーレンの開発ドライバーを務める松下信治がチームから放出される事はほぼ確実であり、その代わりには英国人ドライバーのランド・ノリスが収まる事が予想される。マクラーレンは欧州フォーミュラ3選手権に参戦しているノリスを高く評価、CEOを務めるザク・ブラウンは「未来のF1ワールドチャンピオン」と高い期待を寄せている。
ホンダが松下をトロ・ロッソで起用したいのは明らかであるが、松下はF1を走行するためのスーパーライセンスポイント要件を満たしていない。今年F2シリーズに参戦している松下は、F1出走条件を満たすために最低でも年間ランキング3位に入る必要がある。残り2戦を残した現在ランキング6位につけており、3位との差は37ポイントと小さくはない。