フェラーリ不発の原因とは?下馬評とは裏腹に衝撃のダブルQ2敗退「兎に角、遅い」と苛立つルクレール、完全に予想外とサインツ
優勝候補としてモントリオールに乗り込んだスクーデリア・フェラーリだが、そんな期待や予想とは対照的にシャルル・ルクレールは11番手、カルロス・サインツは12番手で6月8日のF1カナダGP予選を終えた。
苦戦の要因についてルクレールは、明確な答えはないと述べ、落胆というよりは明らかにフラストレーションを感じている様子を見せた。フェラーリがQ3進出を逃したのは2021年のベルギーGP以来初。特に前戦モナコで優勝しているだけに、その心中は察するに余りある。
「兎に角、遅い…終日を通して遅かった。今朝も似たような問題があった。センサー周りに問題があったんだ。本当に腹立たしい。それにセッションの管理もベストではなかったと思う」とルクレールは語る。
「全体的として厳しいセッションだった。一番の問題はペースだ。現段階ではドライコンディションで酷く遅い。でもその理由は分からない」
「ペースという点でモナコで好調だっただけに、ここに来て後手に回るのは少し奇妙な感じだ。原因を調べてみるつもりだ」
フェラーリが厳しい現実を直視したのはFP3になってからだった。2台のSF-24は10番手と12番手に沈んだ。手の内を隠していたからではない。
FP3の序盤にルクレールは無線を通して「ブレーキがまだダメ」「グリップがなく、ただ滑っているだけだ」と不満を漏らし、終盤にはコースの至る箇所で「酷く遅い」と訴えた。
サインツは「週末を前に、これほど厳しく大変な事になると言われたとしても、僕はそれを信じなかっただろう」と述べ、完全に予想外の展開だと認めた。
「本当にタフなセッションだった。FP3の段階で、僕らがここで苦戦しそうだって事が見えてきた。予選で完璧な仕事ができなかった時点でQ2敗退が決まってしまった」
「グリップ、フィーリングにかなり苦戦した。正直、マシンバランスが本当に厄介で、グリップレベルもかなり低かった。容易にミスをしてしまう状態だった」
ジル・ビルヌーブ・サーキットは、縁石を上手く乗りこなし、ストレートで速さを誇るSF-24が強さを発揮できる場所だと考えられていた。
だが、本大会に向けて全面的に再舗装され、ダニエル・リカルド(RBフォーミュラ1)曰く、従来と比べて路面は「遥かにスムーズ」になった。
適切に熱を入れない限りタイヤは決して機能しない。Q1敗退を喫したセルジオ・ペレス(レッドブル)のみならず、誰もがこれに苦労していた。
チーム代表を務めるフレデリック・バスールは「適切なタイミングでタイヤのスイッチを入れる事ができなかった」と述べ、「他のチーム以上」にタイヤに苦戦していたと認めた。フェラーリはイモラでも同様の課題を抱えた。
また、予選でのタイヤ戦略にも疑わしい部分があった。Q1で2セットのソフトタイヤを使ったフェラーリは、Q2を1セットの新品ソフトで乗り切る必要があった。ルクレールとサインツは最初に新品を使い、最終アタックで中古タイヤを履いた。
「後知恵だけど、最初に中古タイヤを使って、その後に新品を使う方が良かったかもしれない。Q2の終盤に向けて雨が降る可能性があったから、逆の判断をしたんだ」とサインツは振り返った。
ジル・ビルヌーブ・サーキットは決してオーバーテイクが容易なコースではない。昨年はDRSを使った追い抜きが12回、使わない追い抜きが5回に過ぎなかった。
それでもバスールは決勝レースに向けて希望を捨てていない。
「我々のレースペースは良かった。予報では天気はかなり移ろいやすいようだし、カオスなレースになって、その恩恵を受けられるかもしれない。それに我々は昨年も後方からスタートしたが、堅実に挽回してみせた」
2023年のF1カナダGPでフェラーリ勢はルクレールが10番グリッド、サインツが11番グリッドからレースに臨み、各々、4位と5位でフィニッシュした。
2024年F1カナダGP予選ではジョージ・ラッセル(メルセデス)がキャリア2度目のポールポジションを獲得。ラッセルと同タイムのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が2番手、ランド・ノリス(マクラーレン)が3番手に続く結果となった。
決勝レースは日本時間6月9日(日)27時にフォーメーションラップが開始され、1周4361mのジル・ビルヌーブ・サーキットを70周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。