ルノーとの契約で優勝に必要な全てのツールが出揃った、とマクラーレン。来季見通しとアロンソWEC参戦を語る
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マクラーレンのエグゼクティブ・ディレクターであるザク・ブラウンは、ホンダとのパートナーシップを解消した事で来年の表彰台争いに必要な全てのツールが揃ったと考えており、3年に渡るマクラーレン・ホンダの暗黒史に終止符が打てると息巻く。ホンダF1エンジンのパワー・信頼性不足に業を煮やしたマクラーレンは、御用聞きメディアを使ってホンダバッシングを展開、今季限りでの契約解消にこぎつけた。
ブラウンは、マクラーレン・ホンダとして挑む最後のアブダビの会見場で、ルノーは過去多くの選手権制覇を成し遂げてきたメーカーだと主張、優勝争いに不可欠な優れたエンジンを手に入れた事で、来年は飛躍の年になるとの見通しを明らかにした。
「表彰台と優勝が2018年の目標です。我々はルノーエンジンに非常に満足しています。彼らは過去10年から15年の間に半分のチャンピオンシップを制し、このスポーツで偉大な歴史を手にしてきました。ドライバー、チーム、シャシー、パワーユニット、それら全てに自信を持っています。期待は高まっていますし、準備は整っています。必要なツールは出揃っていると考えており、登れる表彰台が3位なのか2位なのか1位なのか、いずれにしても先に挙げた全ての要素がハーモニーを奏でてくれれば上手くいくでしょう」
離別の発端となったのはアロンソのホンダへの不満だった。アロンソは、ホンダヘ大きな期待を胸にフェラーリから移籍したものの、過去三年間のパフォーマンスは期待以下であり、マクラーレンは変わるべきタイミングにあった、とサプライヤー変更の決断を正当化している。
“マクラーレン・ルノー”として挑む2018年シーズンは、2度の世界王者フェルナンド・アロンソと、将来を有望視される若手ストフェル・バンドーンのラインナップが継続される。ブラウンの考える優勝に必要なスペイン人ファクターは、F1での3度目のチャンピオン獲得を半ば諦めかけているフシがあり、他の名声を求めて来年は耐久レースの最高峰に君臨するルマン・24時間レースへの参戦を目論んでいる。
ルマン出場への足がかりとして、アロンソはWEC世界耐久選手権の最終バーレーンに姿を現しTOYOTA GAZOO RacingでLMP1マシンをテスト、その翌日には母国スペインに飛び、ブラウンが所有するユナイデット・オートスポーツのLMP2マシンをテストしている。スペインでのテストに付き添ったブラウンは、アロンソのパフォーマンスを「驚くばかり」と評した。
「彼は真のレーサーです。バーレーンでのテストの際には同席していませんので、フェルナンドとは少しばかり簡単に話をしただけです。彼はマシンについて何か手応えを掴んだように思います。エネルギーシステムや回生についてね。素晴らしい事です。LMP2のテストには参加しました。思っていた通り彼は素晴らしかったです。非常に集中しており、同じマシンに乗った何人ものドライバー達が数多くコースオフする中で、彼は即座にゲームを支配したのです」
世界最強と称される腕前を持つアロンソだが、目標とするルマンはF1とは全く異なる世界のモータースポーツ。ドライビングポジション、3人一組でのドライブ、共通のレーシングシート、F1以上に厳しい燃料制限。アロンソは、多くの学習と練習なしにLMP1マシンで競争力を発揮するのは不可能だと認めており、参戦が来年なのか再来年なのかはまだ決定していないと明らかにしている。