英アストンマーチン、2021年よりF1に参戦…レーシングポイント所有者が大規模出資
英国の高級自動車メーカー「アストンマーティン・ラゴンダ(Aston Martin)」が、2021年よりF1世界選手権に参戦する事が決定した。同社は31日(金)、5億ポンド(約715億6,150万円)相当の緊急資金調達計画を発表。レーシングポイントF1チームの共同オーナーであるローレンス・ストロールが株式の16.7%を購入し、新たに会長職に就任する事が明らかにされた。
今回の投資契約によってアストンマーチンは、レーシングポイントF1チームとの2021年から向こう10年に渡る契約を締結し、最初の5年間についてはスポンサーシップという形でチーム名に「アストンマーチン」を掲げる。ドライバーラインナップへの影響はない。ストロールの実子ランスのシートは安泰であり、セルジオ・ペレスもまた2022年までの契約を有している。
アストンマーチンは現在、F1世界選手権に参戦しているレッドブル・レーシングのタイトルスポンサーを務めているが、この契約は2020年末を以て満了とし、更新しない意向を明らかにした。レッドブル・テクノロジー社との技術提携については、ハイパーカー「ヴァルキリー」のデリバリーが開始されるまで継続される。
ストロール率いる投資家グループは、発行済株式の16.7%を1億8200万ポンド(約259億8,150万円)で取得する。コンソーシアムには、JCB会長のアンソニー・バンフォードや、香港の著名資産家サイラス・チューらが名を連ねている。残りの資金については新株を発行する事で、既存の主要株主から調達する。
キャッシュフローを即時改善させるため、ストロールは5550万ポンドの短期資金をアストン側に貸し出す。予定されている株式の買収が完了次第、返金される。この資金は市場への投入を目前に控えている同社初のSUV「DBX」の生産及び業績回復のために使われる。
アストンマーチンは一昨年10月にロンドン市場に上場したものの、エントリーモデル「バンテージ」の販売不振が大きく響いた事もあり、株価は4分の1にまで下落。格付け会社ムーディーズは昨年8月に、同社を投資不適格へと格下げした。
現CEOのアンディー・パーマーは同職に留まるが、ペニー・ヒューズは買収完了後に会長職を辞任。ストロールがその座につく。ヒューズ現会長は「2019年は成績不振に見舞われバランスシートが悪化したが、ブランド及び商品ポートフォリオの強化によって、ストロール氏のような強力なパートナーを引き付ける事が出来た」と述べた。