ボッタス先生「ターン10で攻撃せよ」レース中に周冠宇にオーバーテイク指導…知られざる微笑ましき師弟関係
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グランプリ10勝を誇る33歳のフィンランド人ドライバー、バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)は、F1サンパウロGPのスプリントレース中にチームメイトの周冠宇にオーバーテイク指南を行った。
レッドブル・レーシング勢がチームオーダーを巡って内輪もめを展開したその前日、アルファロメオのドライバー達は、それとは対照的なF1チームメイトのあり方を見せつけた。
予選でダブルQ1敗退を喫したアルファロメオ勢は、スプリント序盤、ボッタスが周冠宇の後方19番手を走行していた。周冠宇の前にはウィリアムズFW44をドライブするニコラス・ラティフィがあった。
ラティフィを追い抜きあぐねる周冠宇。2人の攻防を真後ろで観察していたボッタスは無線を通して「周にターン10へのアプローチで攻めるように伝えてくれ。ラティフィはそこで早めにブレーキを踏んでいる」とチームに伝言を託した。
周冠宇は6周目にラティフィを無事オーバーテイク。ボッタスもこれに続いてカナダ人ドライバーを交わし、それぞれ13位と14位でフィニッシュしてポジションを大きく上げた。
周冠宇は残念ながら日曜の本レースを12位で終えたが、ボッタスは9位フィニッシュを果たし、前戦メキシコGPに続いてチームに貴重なポイントを持ち帰った。
2022年唯一のルーキードライバーにとってボッタスはこれまでのキャリアの中で「最もステキなチームメイト」の一人だという。かつて相棒だったルイス・ハミルトンはボッタスを「史上最高のチームメイト」と称した。
周冠宇は以前、F1公式ポッドキャストの中で「本当にいい人なんだ。おそらく、僕のこれまでのチームメイトの中で最もナイスな一人だと思う。たぶん、F2時代のカラム(アイロット)以来だろうね」と語った。
「自分の経験を通して僕の質問に答えてくれるだけじゃなく、時には『調子はどうだ? もっと知りたいことはある?』とさえ尋ねてくれるんだ」
特に、デビュー戦となったバーレーンGPの決勝レースを前にしたボッタスの優しさは周冠宇の心を打ったようだ。
「バーレーンで言われた事が印象的だった。ピットレーン・オープンの10分前、ヘルメットを被る前に僕に『何か聞きたいことはあるか?』って聞いてくれたんだ。僕がどれだけ緊張しているのかを知っていたからね。何しろF1のデビュー戦だったから」
「それ以来、とても上手くやってきているし、ドライビングスタイルがかなり似通ってるのも良い方向に働いている。クルマのフィードバックはいつもほとんど同じなんだ」
ボッタスはグリッド有数のコーヒー好きとして知られるが、周冠宇も先輩に習ってコーヒーを飲むようになったという。
「モーターホームで彼のお手製コーヒーを初めて飲んだのはイモラの時だった」と周冠宇は振り返る。
「F1に来るまでは一度もコーヒーを飲んではこなかったんだけど、F1ではコース上だけじゃなく、メディア活動やその他もろもろで朝が早くて、それがちょっと大変でね」
「今はレースや予選の前に飲んだりするんだ。自分自身をリセットするためにね。今はコーヒーが大好きだけど、バルテリのレベルには達していないよ!」