バクー市街地コースに並べられたピレリのC3~5タイヤ、2022年6月10日F1アゼルバイジャンGP
Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

F1アゼルバイジャン決勝グリッドとタイヤ戦略考︰波乱必至の高速戦、角田裕毅の1セットハードは吉と出るか?

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6月12日(日)の日本時間20時よりバクー市街地コースで開催されるF1第8戦アゼルバイジャンGPの暫定スターティング・グリッドが発表された。予選結果からの変動および決勝のタイヤ戦略を見ていこう。

今週末は計15台ものマシンが何らかのパワーユニットのコンポーネントを交換したが、降格対象となるドライバーはいなかった。2基目のICEを開封したレッドブル勢を含む7台は、新品エンジンの強力なパワーの恩恵を得る事ができる。

ギアボックスに関してはミック・シューマッハ(ハース)が新品のケース及びカセット、駆動部品・ギアチェンジ・補助部品を開封しているが、こちらも罰則対象ではなかった。参照:F1レギュレーション解説「ギアボックス編」

予選ではランド・ノリス(マクラーレン)とルイス・ハミルトン(メルセデス)が不必要に低速で走行したとして審議となったが、いずれもお咎めなしの裁定が下された。またハース勢がピットレーン規定違反の疑いで調査されたが、こちらも罰則が科される事はなかった。

現時点でのスターティンググリッドと予選順位との間に相違はなく、ポールポジションにシャルル・ルクレール(フェラーリ)、最前列2番手にはセルジオ・ペレス(レッドブル)が並ぶ。

想定されるタイヤ戦略

51周で争われるアゼルバイジャンGPは例年、誰もが1ストップを目指す傾向にあるが、クラッシュによりセーフティカー(SC)が導入される確率が非常に高く、そうなれば状況はあっという間に一変する。雨の心配はなさそうだ。

スタートタイヤで汎用性が高いのはミディアムだ。グリップレベルが高く、セーフティーカー導入等のレース展開に合わせて柔軟にピットストップのタイミングを調整できる利点がある。20周前後がピットウィンドウとなるだろう。

攻めの姿勢で臨むのであれば、ソフトからハードに履き替えるのも一手だ。C5コンパウンドは序盤にペース面でのアドバンテージがあるものの、その分だけピットストップのウインドウが狭い。また燃料を多く積んだ状態でのスティントで履けば、より慎重なタイヤマネジメントが求められる事になる。

更にこの場合は、2ストッパーを視野に入れる必要があるだろう。バクーは市街地サーキットながらもオーバーテイクが容易であるため、モナコと比較するとピットストップの回数が増える事によるデメリットが少ない。

ピレリのモータースポーツ部門を率いるマリオ・イゾラは次のように述べ、ソフトからハードに繋ぐチームが多く見られる可能性があると指摘する。

「決勝と同じ時間帯に行われたFP3ではソフトタイヤにフォーカスするチームが見られた。レースでも大きな役割を果たす事が期待される」

「戦略には幾つかのオプションがあるが、計算上はワンストッパーが明確な方法と思われる。興味深いのは多くのチームがハードタイヤを2セット残していることだ。おそらく、赤旗やその他の混乱が起きる可能性を考えてのことだろう」

なお予選6-8番手につけたピエール・ガスリーと角田裕毅擁するアルファタウリ勢は、グリッド重視のタイヤ戦略を採った。予選に向けてソフトを5セット残したためハードが1セットしか残っておらず、ミディアム、ハードの1ストッパーの可能性が高そうだが果たして。

インタビューに応じるピレリのモータースポーツ部門を率いるマリオ・イゾラ、2022年6月11日F1アゼルバイジャンGPにてCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

インタビューに応じるピレリのモータースポーツ部門を率いるマリオ・イゾラ、2022年6月11日F1アゼルバイジャンGPにて

2022年F1アゼルバイジャンGP 決勝グリッド

以下は暫定のスターティンググリッド。決勝直前に発表される正式版との差異が発生した場合は更新される。

51周で争われるF1アゼルバイジャンGPの決勝レースは現地15時、日本時間20時にフォーメーションラップが開始される。日本ではDAZNフジテレビNEXTで生放送・ライブ配信される。

Pos No Driver Team Qualifying
1 16 C.ルクレール フェラーリ 1(-)
2 11 S.ペレス レッドブル・RBPT 2(-)
3 1 M.フェルスタッペン レッドブル・RBPT 3(-)
4 55 C.サインツ レッドブル・RBPT 4(-)
5 63 G.ラッセル メルセデス 5(-)
6 10 P.ガスリー アルファタウリ・RBPT 6(-)
7 44 L.ハミルトン アルピーヌ・ルノー 7(-)
8 22 角田裕毅 メルセデス 8(-)
9 5 S.ベッテル アストンマーチン・メルセデス 9(-)
10 14 F.アロンソ アルピーヌ・ルノー 10(-)
11 4 L.ノリス マクラーレン・メルセデス 11(-)
12 3 D.リカルド アルファロメオ・フェラーリ 12(-)
13 31 E.オコン アルピーヌ・ルノー 13(-)
14 24 周冠宇 アルファロメオ・フェラーリ 14(-)
15 77 V.ボッタス アルファロメオ・フェラーリ 15(-)
16 20 K.マグヌッセン ハース・フェラーリ 16(-)
17 23 A.アルボン ウィリアムズ・メルセデス 17(-)
18 6 N.ラティフィ ウィリアムズ・メルセデス 18(-)
19 18 L.ストロール アストンマーチン・メルセデス 19(-)
20 47 M.シューマッハ ハース・フェラーリ 20(-)

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