マスクを着用してムジェロのピットを歩くスクーデリア・フェラーリのセバスチャン・ベッテル
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ベッテル、現実直視の必要性を認める一方で「フェラーリは諦めない」

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スクーデリア・フェラーリのセバスチャン・ベッテルとシャルル・ルクレールが、2020年FIA F1世界選手権開幕オーストリアGPに先立って抱負を語った。昨年のレースではルクレールがポールポジションを獲得したものの、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンに追い抜かれてしまい2位に、ベッテルは4位という結果に終わった。

チームは先週、オーストリアに向けた予行練習として新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の新たなプロトコルを試すために、2018年型マシン「SF71H」をムジェロに持ち込みテストを実施。ベッテルとルクレールは、1グランプリ分に相当する距離を周回した。

スクーデリアはオーストリアで過去5回優勝している。1964年のロレンツォ・バンディーニ、1970年のジャッキー・イクス、1999年のエディ・アーバイン、そして2002年と2003年のミハエル・シューマッハだ。だが、今年のレースはチャンピオンシップでのダメージを最小限に抑えるための戦い方が求められそうだ。

マラネッロでは現在、第3戦での導入が計画されているSF1000のアップデートパッケージに関する作業が続けられている。マッティア・ビノット代表は開幕に先立って、バルセロナテストでのデータを分析した結果、マシンの空力面に欠陥が確認されたため、開発の方向性の転換という大規模な修正に踏み切った事を明かした

ベッテルは「テストで見た序列については現実的に受け止める必要がある」として、客観的に現状を認める必要性があると主張する一方で「落ち込んではいない」とも述べ、シーズン途中からの巻き返しを誓っている。開発の転換という大胆な決断は、見方によっては攻めの姿勢の表れとも言えるだけに、ハンガロリンクでのレースが期待される。

なおチームメンバーの一部は6月30日(火)に現地へと到着しており、残りのメンバーも1日(水)中にシュピールベルクに着く予定となっている。

フェラーリ:オーストリアGPに向けて

セバスチャン・ベッテル落ち込んじゃいない

誰もがレースの再開を熱望していた事は周知の通りだ。余りにも長い休みだったからね。いつもは世界中を旅していて家族や友人と過ごす時間が少ないから、(ロックダウンでの強制的な)休暇も最初のうちは楽しかったけど、いよいよコースに戻る時がやってきた。

応援してくれるファンはいないし、いつもと同じというわけにはいかないけど、全力を尽くす準備はできている。オーストリアのサーキットは回転木馬のように凄い速さで回っていくコースで、僕は特に山中というロケーションが好きだ。

(シーズン前の)テストで見た序列については現実的に受け止める必要があるけど、僕らは落ち込んでいるわけじゃない。同じ場所で2連戦が行われるイレギュラーな展開だから、最初の週末に何を取り組んだのかが、次の週末に重要な影響を与えるだろうね。

シャルル・ルクレールレッドブル・リンクはお気に入り

シュピールベルクのサーキットは高速かつ勾配の変化があり、僕はとても気に入っている。ファンの応援を現地で見られないのは残念だけど、再びレースができる事になって良かった。

長いロックダウンの間、フィジカルトレーニングの傍らで僕は、シミュレーターでバーチャルレースをしたり、他のドライバーと遊んでいたわけだけど、自宅でこれを見ていた人達に楽しんでもらえていたら嬉しい。でもようやく本物のマシンのコックピットに戻る時が来た。

先週のムジェロでは、再びF1マシンに乗ることができた。実際にステアリングを握って走るのはやっぱり本当に楽しいね。


昨年のグランプリでは2番グリッドのマックス・フェルスタッペンが後続を3秒引き離してトップチェッカーを受け、2015年よりF1に復帰したホンダに13年ぶりの勝利の美酒を授けた。2位はシャルル・ルクレール(フェラーリ)、3位はバルテリ・ボッタス(メルセデス)という結果だった。

2020年シーズンの開幕F1オーストリアGPはレッドブル・リンクを舞台として、日本時間7月3日(金)18時からのフリー走行1で幕を開ける。

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