奮わぬフェラーリ、またも意思疎通に問題…皮肉るルクレールと2列目を逃したと不満のサインツ
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スクーデリア・フェラーリはSF-23が唯一得意とする1ラップ対決でライバルの後塵を拝した。4月1日(土)のF1第3戦オーストラリアGP予選ではカルロス・サインツが5番手、シャルル・ルクレールが7番手と、アストンマーチンの1台とメルセデス勢に先行を許した。
レースエンジニアを務めるシャビエル・マルコス・パドロスからの遅すぎる指示にルクレールが不満を訴えた前戦から2週間。またも意思疎通に問題があったようだ。
フェラーリは今回、サインツによるルクレールの牽引を計画していた。ルクレールはパドロスからチームメイトがメインストレートで牽引してくれると聞かされていた。だがこの戦略がもたらしたのはコーナーでのタイムロスだった。
3秒先行してビルドラップに向かったサインツがルクレールに進路を譲ったのは、短い2本のストレートを経た先にあるターン4の出口だった。無線を通してルクレールは「ターン3とターン4で牽引してくれたカルロスに心から感謝するよ」と皮肉を口にした。
ルクレールを先行させた後、プッシュラップ中のフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)とジョージ・ラッセル(メルセデス)が後方から接近していると無線で聞かされたサインツは2台を前に出した。
だが、二人は自身と同じく熱入れのためのビルドラップ中だった。結果、サインツはペースダウンを余儀なくされタイヤの熱を失った。路面温度が20℃程しかない今回の予選において何より重要だったのはタイヤだ。サインツは準備不良のまま計測ラップに向かうほかなかった。
ヘルメットを脱いだサインツは「クリーンなラップが得られればトップ3に入れたはずだ」と述べ、コミュニケーションミスがなく「タイヤを適切なウィンドウ」に入れる事ができればメルセデスに先行できたはずだと主張した。
「チームからプッシュラップ中だと言われたクルマを2、3台、前に出すためにかなりスピードを落とさなきゃならなくてね。でも前に出したと思ったらゆっくり走ってさ。つまりプッシュラップ中じゃなかったんだ」
ランス・ストロール(アストンマーチン)に0.063秒及ばなかったルクレールは、自身の走りという点で「あまり良い仕事ができなかった」と認めつつも次のように述べ、牽引戦略がかえってタイムロスに繋がったとの考えを示した。
「残念ながら、Q3の2回目のランで何が起きたのかはよく分からない。カルロスとのコミュニケーションミスがあったのかどうなのか」
「第1セクターではずっと、カルロスの後方についていたんだけど、そのせいでかなりタイムを失ってしまったところがある。これはチームとして検討しなきゃならない」
ティフォンの期待に応えるような予選でなかった事は確かだが、チャンピオンシップに影響するのは予選ではなく決勝レースだ。
サインツは「ポジティブなのは、クルマにかなり満足してるってことだ。かなりハードにプッシュして、何度か力強いラップを刻むことが出来た。明日に向けての変更も正しい方向に進んでいるはずだ」と期待を込めた。
スクーデリアはどうやら、予選ではなく決勝に焦点を当ててセットアップ作業に取り組んできたようだ。開幕2戦では予選こそレッドブルRB19に次ぐ速さを残したが、タイヤのデグラデーションに苦しみレースペースは全く奮わなかった。
レースに向けての自信について問われたサインツは「クルマに施した変更は明日に焦点を当てたものだから、今日(の結果)はとりわけ良いものには見えないかもしれないね」と語った。
ルクレールも決勝に向けては「かなり良いマシンに仕上がってると思う」とした上で「レースペースのために予選ペースを少し妥協したところがあるから、明日どうなるか楽しみだ」と語った。
昨年の2位ランカー、フェラーリは現在コンストラクターズランキングで4位に甘んじている。メルセデスとアストンマーチンには12ポイント、首位レッドブルに対しては49ポイントの遅れを取っている。
2023年F1オーストラリアGP予選ではマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポールポジションを獲得。2番手はジョージ・ラッセル、3番手はルイス・ハミルトンと、メルボルン勢が続く結果となった。
決勝レースは日本時間4月2日(日)14時にフォーメーションラップが開始され、1周5,278mのアルバート・パーク・サーキットを58周する事でチャンピオンシップを争う。日本ではDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。