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F1復帰の可能性高まる? アストンマーティン、株式売却報道で株価上昇…投資家との交渉を認める

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英アストン・マーティンは、株式の売却による新たな資金調達について、ここ数週間に渡って複数の潜在的投資家と接触している。その中には中東やインド、中国といった新興国の自動車メーカーの他に、レーシング・ポイントF1チームのオーナーであるローレンス・ストロールが含まれており、フィナンシャル・タイムズは、売却に関する話し合いが最も進展しているのはストロール陣営だと報じた。

アストンマーチンは昨年10月の新規株式公開以来、14カ月に渡って株価が下落し続けており、この一年で3度の資金調達を迫られてきた。エントリーモデル「バンテージ」の販売不振が大きく響き、2四半期連続で損失を出し、既に株価は4分の1にまで下落。格付け会社ムーディーズは今年8月に、同社を投資不適格へと格下げした。

アストンマーティン初のSUV「DBX」
© ASTON MARTIN、アストン・マーティン初のSUV「DBX」

アストンマーチンは現在、同社初のSUV「DBX」の受注を開始しており、予想を上回る注文が入っているとされるが、実際に販売が始まるのは来年の第2四半期であり、その間までの穴埋めをするための追加資金を求めている。

そんな最中の先週、カナダ人大富豪で、F1チームのオーナーでもあるローレンス・ストロールが、買収に向けて水面下で交渉を進めていると報じられ、同日、アストンの株価は18%も上昇した。F1ドライバーであるランス・ストロールの実の父親は、ピエール・カルダンやラルフローレン、トミー・ヒルフィガーなどのファッションブランドへの投資で成功を収め、莫大な資産を築き上げた。

買収報道に対してレーシング・ポイント側は「憶測や噂についてはコメントしない」と述べているが、アストンマーチンは13日(金)夜に、秘書のキャサリン・スクモノウスキ名義で「資金調達の必要性及び、様々な資金調達オプションを検討中だ。また、株式売却の有無を問わず、長期的関係の構築を目的として、潜在的な戦略的投資家との会合にも参加している」との声明を発表した。

仮にローレンス・ストロールがアストンを支配下におけば、現在「レーシング・ポイントF1チーム」として機能しているシルバーストンのチームが、その名を「アストンマーティン」へと改称する可能性は極めて高い。

DBXが参入しようとしている高級SUV市場の成長率は著しく、現在最も利益を上げている分野の1つだ。ベントレーのベンテイガ、ランボルギーニのウルス、マセラティのレヴァンテ等、いずれも受注は顕著に推移しており、頑なにSUV投入を拒んでいたフェラーリでさえも、2022年の市場投入を目指して「プロサングエ」の開発に取り組んでいる。