F1目指すアンドレッティ「近づいている」40兆円を動かす大物の関与が明らかに
アンドレッティ・グローバルのFIA-F1世界選手権参戦計画はこの数ヶ月、目立った進展はなく、取り沙汰される事は殆どなかったものの、実現の可能性は我々が思っている以上には高いのかもしれない。
程度については不明であるものの、最も強力なバックアップ材料は、総額2,850億ドル超、約40兆円を運用する資産運用会社、グッゲンハイム・パートナーズの関与が初めて公に明らかとなった事が挙げられる。
米インディ・スターによるとマイケル・アンドレッティは12月6日(火)に行われたアンドレッティ・グローバルの新社屋の起工式の中で、グッゲンハイム・パートナーズのマーク・ウォルターCEOを含む数名に感謝の言葉を述べた。
グッゲンハイムはアンドレッティの影の支援者としてこれまで噂されてきたニューヨークに本社を構える世界的投資・アドバイザリー金融サービス企業だ。
今回起工式が行われた2億ドル(約273億円)規模の新ファクトリーのほか、F1新規参戦に際して支払いが義務付けられている2億ドルの”参入障壁税”、更にはF1プロジェクトに関わる約10億ドルものイニシャルコストを負担するのではと考えられている。
なおマーク・ウォルターは、ロサンゼルス・ドジャースとロサンゼルス・スパークスの筆頭オーナー、そしてプレミアリーグのチェルシーF.C.の共同経営者でもあり、スポーツ界への多大な投資でも知られる人物だ。
フォーブス誌によるとその個人資産は2022年現在、52億ドル、日本円にして約7,110億円にも達する。
ザウバー買収計画の破談を経てアンドレッティが目指すのはあくまでも11番目のエントリーとしての新規参戦であり、過半数以上の株式取得によりザウバー買収が噂されるアウディのアプローチとは異なる。
レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコが存続に自信を示す傍ら、ホンダによる買収の可能性も囁かれる総帥ディートリッヒ・マテシッツ亡き後のアルファタウリについてアンドレッティは「彼らに興味はない」と一蹴した。
その上で「我々は毎日、(新規参戦の認可を得るために)取り組み続けている。まだ自信を持っているし、近づいている。まだOKを貰ってはいないが、本当に近づいているんだ」とも述べ、エントリー受理を巡る国際自動車連盟(FIA)の最終決断が間近に迫っていると説明した。
「今後数週間以内を期待している。それはきっと、素敵なクリスマスプレゼントになるだろう」
夢の実現に期待を示すアンドレッティとは裏腹に、関連報道はここ数ヶ月、殆ど聞こえてこなかった。マクラーレンとアルピーヌを除き、F1チーム側はコンストラクター選手権の順位に従って分配される賞金減額に繋がる新規チーム参戦に否定的だ。
だが、続報がないことは必ずしもプロジェクトが滞っている事を示すものではない。
アンドレッティのメインスポンサーの1つであるゲインブリッジを所有し、実現の際にはアンドレッティF1チームの共同オーナーとなる見通しの「Group 1001」のダニエル・トウリスCEOはこの点に関して幾つかの洞察を与える。
「(F1及びFIAとの間では)今も多くの対話が進行中だが、我々は表立とうとしたり、メディアを道具として利用して影響を及ぼそうともしていない。彼らは採るべきアプローチと礼儀作法を(我々に)期待しており、我々はそれを尊重している」
F1チームの本拠としての利用を視野に入れるインディアナポリスの新社屋は約3万6,421平方メートルという広大な土地に建設される。マリオ・アンドレッティ曰く、これは「フェラーリよりも広大」だという。
新社屋についてマイケル・アンドレッティは「これはインディカーに留まるものではない。これを以てこれまでにないことをしたいんだ」と語った。
「ル・マンからモナコ、インディ500、そしてデイトナ500に至るまで、我々はあらゆる形態の自動車レースに参加したいのだ。そして最終的にはその全てを一つの屋根の下に置きたい。それが我々の目指す目標であり、そのために様々な計画を進めているところだ」
F1参戦を目指しているのはアンドレッティだけではない。F1プレジデント兼CEOを務めるステファノ・ドメニカリは具体的な名前こそ明かしていないものの、アプローチが複数ある事を認めている。
近年ではアンドレッティの他にパンテーラ・チーム・アジア(Panthera Team Asia)やモナコF1レーシングチーム(Monaco F1 Racing Team)がF1参戦に対する意思を表明しているほか、香港の大富豪カルビン・ローも新チームでのF1参戦を模索している事を認めている。