アルピーヌF1、サフナウアー起用…PU部門トップ人事と合わせて新首脳体制を発表
アルピーヌF1チームは2022年のF1新時代に向け、オトマー・サフナウアーをチーム代表に据えると共に、ヴィリー=シャティヨンのパワーユニット部門の責任者にブルーノ・ファミンを起用する。
今回の首脳人事は、ルノーグループのルカ・デ・メオCEOとアルピーヌのローラン・ロッシCEOが掲げる「今季導入の新たな技術規定導入から100戦以内にチャンピオンシップを制覇する」との目標達成に向けた体制変更の一環だ。
先月、アストンマーチンからの離脱が発表されたサフナウアーに関しては、アルピーヌ移籍の憶測が飛び交いながらも、チームは沈黙を保ち続けてきた。だが新車「A522」のローンチイベントを前にした2月17日、アルピーヌはリーダーシップ部門の体制強化を発表し、その中でサフナウアーのチーム・プリンシパル就任を正式アナウンスした。
1998年にBARでF1キャリアをスタートさせたサフナウアーは、エンジニア職でのフォード在籍時代を含めてモータースポーツ界で33年の経験と実績を持つベテランだ。
ホンダ・レーシングの副社長兼ホンダF1チームの取締役を務めた後は、フォース・インディアに移籍。乏しい予算と人員というハンデを抱えながらも、コンストラクターズ選手権で最下位だったチームを4位にまで導いた。
また、レーシングポイントへと改称された後は、設立2年目のシーズンで初優勝とコンストラクターズ選手権4位を獲得。そして昨年のアストンマーティンではF1初の表彰台を獲得した。
サフナウアーは今後、ロッシの直属の部下として、エンジニアリングやレースマネジメントを含めたチームのパフォーマンス全てを監督すると共に、エステバン・オコンとフェルナンド・アロンソが才能を最大限に発揮できるようサポートしていく。
ブルーノ・ファミンはFIAのスポーツ事務局次長を務めていた人物だが、それ以前はプジョーで15年以上に渡って耐久チームの技術プログラムを指揮してきた。
2009年のル・マンでプジョー908を優勝に導くと、以降32戦で24勝という記録を重ねた後、2012年にプジョー・スポーツのディレクターに就任。2016年から2018年にかけてダカール3連覇を果たすなど手腕を奮った。
ロッシCEOは体制発表に際して「オトマーとブルーノがチームに加わる事で我々は、2022年に向けて新たなレベルに進む事ができる」と語った。
「オトマーはこれまでに培ったユニークな経験のみならず、勝利への妥協なきスプリントをチームにもたらしてくれるだろう。一方のブルーノは、技術開発においてライバルを凌ぐパフォーマンスを発揮してきた実績だけでなく、それを市販車に転用するという点でも実績を持っている。スポーツチームであり、また一つのブランドでもある我々のプロジェクトに欠かせない人物だ」
なお即戦力として活躍できず、ロードレース世界選手権(MotoGP)への出戻りが囁かれていたダビデ・ブリビオは「レーシング・エクスパンション・プロジェクト・ディレクター」に就任。今後はアルピーヌ・アカデミーを含めて、あらゆるカテゴリーにおける人材の発掘と育成を統括していく。
ブリビオについてロッシは「ダビデの才能は人の長所を見極め、その能力を最大限に発揮させるところにある。このユニークなスキルを活かしていける事を嬉しく思う」と語った。