アルファタウリ指揮官「もう信用しない」衝撃発言、エンジニアに拭えぬ不信感
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2023年型F1マシン「AT04」に期待されていた性能向上がもたらされなかった事を受け、アルファタウリのフランツ・トスト代表は「もう信用しない」と述べ、エンジニアに対する信頼は失われたとぶちまけた。
ファエンツァのチームは2020年と2021年に中団トップを争い、後者ではコンストラクターズ選手権6位を記録したものの、グランドエフェクトカーが導入された2022年には9位に後退。今季に向けて巻き返しに取り組んできた。
だが開幕バーレーンGPでは予選Q3に進出できず、決勝では角田裕毅の奮闘により11位と惜しくもポイントを逃す結果となったが、ランド・ノリス(マクラーレン)がエンジンに問題を抱えず、ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)がフロントウイングを破損してなければ、更に下位でレースを終えた可能性もある。
エンジニアに対する不信感
3月17日(金)にジェッダ市街地コースで行われた1回目のフリー走行では角田裕毅が10番手タイムをマーク。上々の滑り出しを見せたが、トストはエンジニアに対する不信感を拭えていない。
アルファタウリの指揮官はFP1後に行われたF1サウジアラビアGPの会見の中で「エンジニア達は私に良い進展があると言っているが、もう信用していない。重要なのはラップタイムの改善であり、それ以外はどうでもよい」と語った。笑みはなかった。
トストはオフシーズン中にエンジニアから「クルマは素晴らしい」「大きな進歩があった」との前向きな報告を受けていたが、バーレーンでの結果は期待とは程遠いものだった。
部下に対するこの厳しい発言に対して「愛のムチ」なのか? と問われると、トストは「そんな事はどうでもいい!」と一笑に付し、次のように付け加えた。
「速いクルマが見れればそれで良いんだ。ムチだろうがなんだろうが、そんな事はどうでもいい」
なおアルファタウリは昨年、使用していた風洞を自前の50%スケールのものから、レッドブルが使用している60%スケールのものへと変更した。
風洞の変更が誤解を招くようなデータ上の数字に繋がった可能性について問われたトストは「それは関係ない。去年のクルマに関しては影響が大きかったが、今年は違う」と答えた。
トストの信頼を取り戻すために、エンジニアはクルマの性能向上を示す具体的な成果を出すことが求められる。この不信感はチーム全体に緊迫した雰囲気をもたらすのだろうか。それとも逆に成果へと繋がる第一歩となるのだろうか。
サウジアラビアGPでの僅かな改善
幸先の良いスタートを切った角田裕毅はFP2でもトップ10まで0.184秒差の13番手と、2日目に向けて期待を誘う走りを披露した。また、僚友ニック・デ・フリースも角田裕毅に0.145秒に迫るパフォーマンスを見せた。
ただそれでも初日の結果を見る限りは、ジェッダでのAT04に激戦のミッドフィールドで勝ち抜くための十分な競争力が備わっているとは言い難い。
トストは特に空力面での改善が必要であり「クルマを速くするためにあらゆる手を尽くさなければならない」「アンダーステアの問題解決が必要」「ドライバー達もクルマには満足していないようだ」と認める。
ただその一方で「ここは(バーレーンとは)コース特性が全く違う」として「少なくともQ3には1台は入っていてほしい」と期待を寄せた。
バーレーンでのAT04は特にブレーキングに問題を抱えていたようだが、超高速のジェッダの主要なブレーキングゾーンは5つしかないため、理論上はAT04に、より適したコースになる可能性がある。
AT04の問題点と今後の開発計画
AT04が抱える現在の問題点についてトストは「ダウンフォースが不足しており、ブレーキング時に不安定で、リアタイヤはオーバーヒートし、エイペックスではウォッシュアウトされ、トラクションは悪い」と指摘した。
お先真っ暗が漂うものの、チームも手をこまねいて、ただ見守っているわけではない。
トストによるとメルボルンでの次戦オーストラリアGPとバクーでの第4戦アゼルバイジャンGPで立て続けにアップグレードが予定されている他、その後もほぼ全てのレースで僅かながらも新たな開発パーツを投入していくという。
予算が制限されている中、全てのレースにアップグレードを持ち込む事は可能なのか? トストは「コストキャップは開発作業を妨げるものではない。事業計画に織り込み済みだ」と語る。
「オフシーズンを通して少なくとも理論上、コンピュータ上では昨年のマシンと比較して大きな進歩があったかに思われたが、今や私はそれらの数字を信じていない」
「次のステップを通して自分たちが正しい方向に進んでいるか、クルマのパフォーマンスを向上させられるか、それを実際に確認したいと思っている」
トストは、今後の開発ではフロアやブレーキダクト、そして他のあらゆる空力パーツに特化した専門的な作業が求められるとした上で、エンジニアに対し、これまでに収集したデータを元に成果を出すよう発破をかけた。