アルファタウリF1、AT03をミサノでシェイクダウン「手応えあり」と角田裕毅…ガスリーも「凄く良い感触」と前向き
スクーデリア・アルファタウリは2月23日(火)のF1バルセロナテスト開幕を翌日に控え、去る2月15日(火)にミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで2022年の新車「AT03」のシェイクダウンを実施した事を明らかにした。
チームは1週間前、「AT03」のシェイクダウンを行った事を仄めかしていたが、走行画像はおろか場所を含めた詳細すら公表せず、謎に包まれていた。
シェイクダウンはチームの本拠地であるファエンツァから1時間足らずの場所にあるミサノ・サーキットで行われた。ロードレース世界選手権(MotoGP)でお馴染みのこのサーキットは、全長4.064 kmのトラックに16コーナーが設けられている。
角田裕毅とピエール・ガスリーはこの日、空力特性が大幅に変化した2022年シーズンの新たなチャレンジャーを初めて体験した。競技規定で定められているプロモーションイベントでの走行上限、100kmを走り込んだ。チームによるとAT03のシェイクダウンは「成功裏」に終わったと言う。
走行時間は限られ、装着タイヤもレース用ではなくデモ用、更にはレインタイヤでの走行という事もあって、本格的なテストはカタロニア・サーキットでのセッションを待つ必要があるが、角田裕毅は既にAT03に有望な兆しを感じているようだ。
「フィルミングデーという事でクルマに乗る時間は非常に限られてしまうのですが、これまでに得た感触からAT03には手応えを感じています」と角田裕毅。
「バルセロナでのテストでは、この新しいクルマに対する自信を深め、できるだけ多くのことを学び、エンジニアに最善のフィードバックを提供して、バーレーンでのシーズン開幕に備えたいと思っています」
チームメイトのガスリーもAT03に好感触を得ているようで、角田裕毅の見解に同意した。
「新車は全くの別物だ。路面が濡れていて滑りやすかったにも関わらず、最初の感触はすごく良かった」とガスリー。
「次世代マシンの導入によってレースがより良くなる事を願うよ」
「新型車とあってまだまだ未知の部分が多いから、バーレーンでの初戦に向けて、まずはバルセロナでの6日間のテストを最大限に活用するために一生懸命取り組んでいくつもりだ」
ドライバーからのフィードバックを経て、チーム代表のフランツ・トストもまた前向きな見解を示したが、同時に、ライバルチームとの相対的な位置関係についてはバルセロナテストが始まるまで分からないと気を引き締めた。
ファエンツァの指揮官は「AT03の第一印象は本当にポジティブだ」「我々のパッケージは有望だと思う」とした上で「まずは全車が参加するプレシーズンテストでの比較を見守る必要がある」と語った。
2022年シーズンは3月のバーレーンで開幕し、11月のアブダビで閉幕を迎える。都合9ヶ月間のオンシーズンには史上最多の23戦が組まれており、全ては1年間を通して如何にクルマを進化させていくかに懸かっている。
今回のシェイクダウンについてテクニカルディレクターを務めるジョディ・エギントンは、長く険しい2022年シーズンに向けた第一歩に過ぎないとの考えを強調した。
「テクニカル面のレギュレーション変更は、長きに渡るF1の歴史において最大のものだと言えるだろう。これまでとは大きく異るシーズンになる」とエギントン。
「まずはクルマが走行する姿が見られて良かった。これまでの苦労が一つ、報われたわけだからね。とは言えこれは、クルマを理解し、開発を続けるための長い旅の最初のステップに過ぎない」
「プレシーズンテストと初戦に向けて可能な限り最高のパッケージを作り上げるために、歴代のマシンから学んだ事を活かし、全てを再評価する事によって、常に最適化を目指して作業を続けていく事になる」
グランドエフェクトの再導入を含む技術規定の刷新に加えて、今季は予算上限が1億4500万ドルから1億4000万ドル(約161億円)に削減された。
従来は予算の違いがそのまま競争力の違いとなって結果に表れる傾向が強かっただけに、プライベーターにとって新時代のF1は躍進に向けての大きなチャンスとなり得る。
トスト代表は「コース上でのバトルが更に接近したものになる事を願うばかりだ。他のスポーツと同様に、F1においても誰もが勝利を目指して競い合うような状況が理想的だからね」と述べ、「新しいレギュレーションとコストキャップの導入により、F1は正しい方向に向かって進んでいると思う」と付け加えた。
アルファタウリは23日開幕のF1バルセロナテストで、初日に角田裕毅、2日目にガスリー、そして最終3日目に角田裕毅とガスリーの二人を起用する。