ウィリアムズ、サージェントの欠場を決定…事故当事者のアルボンが2号車を引き継ぎ参戦 / F1オーストラリアGP
クラッシュの影響で23号車FW46を現地で修復する事ができないと判明した事を受けウィリアムズ・レーシングは、F1第3戦オーストラリアGPでローガン・サージェントを欠場させ、代わりにサージェントの2号車を与える事でアレックス・アルボンを残りの週末に参加させると発表した。
オープニングセッションでアルボンは、アウト側に膨らんで縁石に乗り上げ、右フロントからターン7のバリアに激突。コース側に弾き返された車体は路面を滑走し、左リアからターン8のウォールにぶつかった。
エンジンの損傷に加えてギアボックスは真っ二つとなり、シャシーもダメージを負うなど損傷の程度は酷く、アルボンはFP2の欠場を余儀なくされた。
苦渋の決断、とヴァウルズ
ウィリアムズのガレージにはスペアシャシーが用意されていなかった。23日(土)のFP3以降にコースに投入できるのは1台のみと判明した事で、指揮官ジェームズ・ヴァウルズは苦渋の選択を強いられた。
「本当に残念な事にシャシーが受けた損傷は大きく、我々は1台を週末の競技から撤退させなければならなくなった」とヴァウルズは語る。
「現代のF1でスペアシャシーがないのは受け入れがたいことだが、これは冬の期間に我々が遅れを取っていた事によるものだ。我々は将来に向けてより良いポジションを得るために大きな変化を遂げなければならなかったのだ。その結果として今日、非常に難しい決定を下さなければならなくなった」
「自分が犯したわけでもないミスでローガンが苦しむべきではないが、ミッドフィールドの争いはこれまで以上に激しく、今週末にポイントを獲得する最善の可能性に基づいてこの判断を下した」
「この決定は軽々しく行われたものではない。ローガンがチームに対する献身を示す形でこの決定を受け入れてくれたことに対して心から感謝の意を表したい」
「彼は真のチームプレイヤーだ。ウィリアムズにとって厳しい週末になるだろうが、再びこのような状況に陥ることはなりだろう」
アルボン一択、と識者
事故の責任はアルボンにあるが、昨年のチーム総得点の96%を稼ぎ出したのがアルボンである事を踏まえると、ウィリアムズの決定は非情ながらも合理的と言える。
ウィリアムズの決定に先立ち、英「Sky Sports」で解説を務めるマーティン・ブランドルは「クルマが1台しかないのなら、アレックス・アルボンを乗せる事に頭を悩ませる必要は一切ない」と指摘した。
「これは僕のキャリアの中で最も辛い瞬間だ。受け入れるのは決して簡単なことではないけど、僕はチームのためにここにいる。結果を最大化するために、僕は今週末もどんな形であれチームに貢献し続けるつもりだ」とサージェントは語った。
2号車を託されたアルボンは、気落ちすることなく自らの役割に集中し、可能な限り最高の結果を出すことに専念しなければならないと気を引き締める。
「自分のシートを手放したいと思うドライバーはいないわけで、こういう事は決して起きてほしくない」とアルボン。
「ローガンは初日から一貫して完璧なプロフェッショナルであり続けてきたチームプレーヤーだ。彼にとって受け入れ難いことだと思う」
「でも、この状況に対して僕は、くよくよしているわけにはいかない。今の僕がやるべき唯一の仕事は、ポテンシャルを最大限に引き出し、チーム全体と協力して可能な限り最高の仕事をすることだ」
メカニックは2日目に向けて、アルボン用のエンジンとギアボックスを2号車のシャシーに載せ替える作業に取り組む事になる。
スペアシャシー不在の理由
ウィリアムズのガレージには何故、スペアのモノコックが用意されていなかったのか? ヴァウルズによるとそれは、新シーズンに向けた準備を進める過程で「リスク」を取った結果だった。
ウィリアムズは2024年シーズンに向け、あらゆるリソースを限界まで使ってFW46の競争力を高める事を最優先事項とした。その結果、予備のシャシー構築が犠牲になった。
当初はオーストラリアGP頃までにスペアシャシーを用意する計画であったが、実現には至らなかった。