アンドレッティに追い風? リバティCEO、F1チーム拡大の可能性を示唆
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F1の商標権を持つリバティ・メディアのグレッグ・マフェイCEOはF1第5戦マイアミGPを前に、将来的にF1チームを増やす可能性があることを示唆した。
AP通信によるとマフェイCEOは「我々には既に10つの素晴らしいチームがあるが、時間をかけて更にチームを増やす可能性もある」と述べ、11番目のチームを含むグリッドの拡大の可能性を仄めかした。
F1は2017年シーズンを前にマノーが撤退して以降、10チーム体制が続いている。
マフェイCEOは「チームを買いたい、あるいはチームを増やしたいという要望は多く寄せられている。我々は時間をかけてそれらを検討し、誰を迎え入れるか、どんな資格が必要かについて、チーム及びFIAとの間での合意形成に取り組んでいく事になるだろう」と付け加えた。
現在、11番目の新チームとして最も有力視、また期待されているのは元F1ドライバーでCARTチャンピオンでもあるアメリカンモータスポーツの雄、マイケル・アンドレッティ率いるアンドレッティ・グローバルだ。
アンドレッティは昨年、ザウバーに買収提案を持ちかけたもののチームの支配権を巡って元オーナーと対立したために交渉が決裂。次なる手として、2024年からのF1参戦を目指して今年初めにFIAに申請書を提出した。
マイアミGPの開催に合わせて現地入りしたアンドレッティは、FIAのモハメド・ベン・スレイエム会長との会談を経て「あまり多くを語りたくはないし、彼らもあまり語りたがらないだろうが、前向きだった」と手応えをのぞかせた。
ロシアンマネー並びにロシア人ドライバーのニキータ・マゼピンとの関係を打ち切ったとは言え、カリフォルニアの実業家ジーン・ハースが所有するハースF1チームのドライバーは、デンマーク人のケビン・マグヌッセンとドイツ人のミック・シューマッハであり、フェラーリと密接な技術関係を築く事で、開発の大部分はイタリアで行われている。
対してアンドレッティは真のアメリカンF1チームの設立を目指しており、F1参戦が実現した暁には、現インディカードライバーのコルトン・ハータを起用する見通しだ。
Netflixのドキュメンタリー「Drive to Survive」の人気に後押しされ、米国企業のリバティ・メディアは今年、米国での第2レースとして新たにマイアミGPを追加した。そして来年はこれにラスベガスGPを加える。
アンドレッティがアメリカをルーツとしている事についてマフェイCEOは、グリッド拡大を巡る競争において「プラスになり得る」と認める一方、「新チームがもたらし得るあらゆる要素を検討することになるだろう」と述べ、マーケット拡大やマーケティング、テクノロジーなど、様々なファクターを精査した上で総合的に決定を下す意向を強調した。
F1参戦に興味を示しているのはアンドレッティだけではない。フォルクスワーゲン傘下のポルシェとアウディは2026年からのF1参戦を決定した。
ただしポルシェはレッドブルと提携しての参戦が濃厚で、アウディはアストンマーチンやザウバー、ウィリアムズなど、既存チームの買収を含めて道を模索し続けている。当初はマクラーレンと交渉していたが、英Autosportによるとザク・ブラウンCEOは株式を売るつもりはないと述べ、その可能性を除外している。
故に、純粋な新チームとしてはアンドレッティのみで、風向きが少しばかり追い風へと変わり始めたかに思われるが、チーム数の増加は既存チームにとってF1からの分配金減少に繋がる一大事だ。アンドレッティが参戦によってシリーズに付加価値、売上増をもたらさない限り、既存チームは収入を失う事になるだけに、反対派を納得させるのは容易ではない。
確かにマフェイCEOは将来的なグリッド拡大の可能性を認めているが、ブルームバーグ・パワー・プレーヤーズ・マイアミの中で「差し迫った必要性は感じていない」とも述べ、早期の実現については否定的な見方を示している。
2024年までに残された時間は多くない。アンドレッティは既に人材を雇用して準備を進めているが、まだファクトリーは確保できていない。インディアナポリスに建設が予定されているF1用の施設に関しては、8月には着工したいとしている。