インタビューに答えるフェラーリのキミ・ライコネン、スパ・フランコルシャンにてcopyright Ferrari S.p.A.

フェラーリがシャルル・ルクレールではなくキミ・ライコネンと契約すべき4つの理由

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グリッド最年長のキミ・ライコネンが、来シーズンもスクーデリア・フェラーリに残留する可能性が高まっている。ベルギーGPを直前に控えた今週末、イタリアメディアが相次いでF1随一の人気を誇る38歳フィンランド人ドライバーの続投を報じた。

報道によれば契約は1年延長のオプションを含んでおり、ライコネンは最大2020年までF1に留まる可能性があるという。2年後もF1に留まった場合、ライコネンは40歳になる。報じられた内容が正しければ、契約更新発表はフェラーリのお膝元モンツァで行われるF1イタリアGPの週末となりそうだ。

夏休み前の段階では、今季限りで契約が切れるライコネンに代えて育成傘下のシャルル・ルクレールをザウバーから昇格させるとの見通しが高まったものの、これを後押ししていたとされるセルジオ・マルキオンネ会長が死去。ライコネンは跳ね馬に留まり、ルクレールはハースのロマン・グロージャンのシートに移ると噂されている。

フェラーリがライコネンを保持し続けるメリットとは何であろうか?2019年にルクレールではなくライコネンを起用すべき理由はどこにあるのだろうか?

まずひとつには安定的な成績が挙げられる。チームオペレーションの失策やチームオーダーによるポジションチェンジ等の不利なシーンがあったものの、ライコネンは第8戦フランスGPからシーズン折返しのハンガリーGPまで5戦連続で表彰台を獲得。チームメイトのセバスチャン・ベッテルに次ぐドライバーチャンピオンシップ3位で前半戦を折り返した。

5戦連続のポディウムは全20名中唯一であり、今年のライコネンは安定感が光っている。今のフェラーリが狙うはコンストラクターズとドライバーズの両タイトル。チームがベッテルを優遇し、ドライバー部門でチャンピオンにさせたがっているのは明らかであり、その相方にはコンストラクターズ争いにおいてベッテルをサポートしつつ、安定的な成績を挙げられる人物が求められる。

F1イギリスGP予選を終えて笑顔を見せるフェラーリのセバスチャン・ベッテルとキミ・ライコネン
© Ferrari S.p.A. / イギリスGP予選を終えて笑顔のベッテルとライコネン

確かに予選成績でみれば、ライコネンは前半12戦で2勝10敗とベッテルに大きく負け越している。限界ギリギリのところでの集中力や見極めの能力が全盛期より劣っていたとしても不思議はない。だが決勝成績に目を向ければ、リタイヤを除いて4勝5敗とほぼ互角。チームが二人を平等に扱っていれば、ベッテルに勝ち越していた可能性すらある。

第二にはチームプレイヤーとしての適正が挙げられる。ライコネンはフェルナンド・アロンソがしばしば見せるような政治的要素が皆無であり、ベッテルとの仲も良好。チーム全体の士気や一体感、チームプレーという側面を考えれば、ベッテルの援護射撃の担い手としてライコネン以上の適任はいない。成績面で問題がないのであれば続投させない理由を探すのは難しい。

第三には、ルクレールの経験不足だ。ルクレールは圧倒的な強さを示して下位カテゴリーで頂点を掴み、パドック中の期待を背負ってF1デビュー。非力なザウバーのマシンから性能以上のパフォーマンスを引き出し、参戦半年足らずにして将来のワールドチャンピオン候補と目されている。だが、そうは言えどもまだルーキー。早すぎるトップチームへの移籍は、将来の可能性に満ち溢れた才能をスポイルするリスクがある。

そんなリスクを背負ってまでフェラーリが得られるものは何であろうか?仮にライコネン以上の速さを見せてベッテルとドライバータイトルを争う状況が生まれたとして、それがフェラーリの利益になるかと言えば甚だ疑わしい。フェラーリは選手権両部門を奪取できれば良いのであって、チーム内でタイトル争いが起こるような状況を求めているわけではない。

シャルル・ルクレール
© Sauber Motorsport AG

最後に挙げられるのはマーケティング。検索エンジンにおける検索回数ベースでライコネンとルクレールの人気度を推し量ると、世界レベルで見てライコネンはルクレールの約6.3倍の人気を誇っており、スポンサー契約の営業材料や関連グッズの販売等、トラック外での市場価値に大きな差がある。

笑うだけでニュースになる男。それがキミ・ライコネン。クールでニヒルでファンから愛されるライコネンは、今なおフェラーリにとって欠かすことのできないコミュニケーション・ハブであり、その人気度に地理的な偏りが少ないもの大きな強みと言える。

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