ヒュルケンベルグ、予選2位も”13年ぶりの最前列”幻に…赤旗違反で降格ペナルティ
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F1カナダGPのスチュワードは2023年6月17日(土)に行われた公式予選を経て、赤旗規定違反があったとしてニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)に3グリッド降格ペナルティと1点のペナルティポイントを科す裁定を下した。過去12ヶ月間の累積点は3点に達した。
雨により大荒れの展開となったジル・ビルヌーブ・サーキットでの予選でヒュルケンベルグは2番手を刻み、ウィリアムズでF1デビューを飾った2010年ブラジルGPでのポール獲得以来となる13年ぶりの自力での最前列を手にしたかに思われた。
だが、ブラジル出身の元F1ドライバー、エンリケ・ベルノルディを含む4名の競技審判団は、予選を終えてヒュルケンベルグを召喚。現地18時40分より公聴会を開催し、マーシャリングシステムやテレメトリ、チーム無線、車載映像などを調査した。
ヒュルケンベルグはオスカー・ピアストリ(マクラーレン)のクラッシュに伴う赤旗が振られた際(現地16時59分)、FIA ECUが設定した最小タイムを守らず、F1競技規定第37条6項a)に違反した。
赤旗が振られると全車は直ちに減速してピットレーンに戻る事が義務付けられている。この際、ドライバーはFIA ECUにより設定されたタイムよりも遅い速度で走行しなければならない。
赤旗が振られた際、ヒュルケンベルグはターン1付近を走行していた。プッシュラップを開始した直後だった。その時点で既にデルタタイムを1.5秒オーバーしていた。
そのためヒュルケンベルグは「次のセクターでデルタタイムを下回るのはかなり困難だった」と主張。また、デルタタイムに対する現在の状況(早いのか遅いのか)を知らせる車内のビープ音に関して混乱があり「ある時点では速度が遅すぎると思っていた」とも説明した。
しかしながらスチュワードは「レギュレーションは非常に明確であり、またドライバーが危険な行為や安全でない運転をした事に疑いの余地はなく、実際に違反があったため、ペナルティを科す必要がある」と指摘した。
その一方で、以降のラップでは他車と変わらぬ速度で走行し、各ミニセクターのデルタタイムに準拠していた事が考慮され、本来であれば10グリッド降格となるところが3グリッド降格に緩和された。