
F1バルセロナテストの数値が示す現在地、ドライバー/チーム/エンジン別の最速タイム&周回数
1月26日(月)から30日(金)までの5日間にわたり、スペインGPの舞台であるカタロニア・サーキットで、開幕戦オーストラリアGPに向けた非公開テスト「2026年F1バルセロナ・シェイクダウン」が開催された。
車体製造の遅れによりウィリアムズのみ欠席し、他の10チームが参加。最大3日の走行枠を利用し、システム動作および信頼性確認作業、空力データの収集、セットアップ作業などに取り組んだ。
ここでは、ドライバー/チーム/エンジン別の周回数や最速ラップタイムをまとめつつ、各チーム/陣営の開幕戦に向けた準備状況を探る。
最速ラップタイム
Courtesy Of Ferrari S.p.A.
カタロニア・サーキットで「SF-26」をドライブするルイス・ハミルトン(フェラーリ)、2026年F1シェイクダウン
搭載燃料量、走行プログラム、エンジンモード、コンパウンドなど、さまざまな変数が開示されていないため、タイムや順位の単純比較に大きな意味はない。
ただ、開幕戦に向けた準備の進捗状況が、おおよそどの程度まで進んでいるのかを把握する上では有意義だ。速さは、準備面で先行している可能性を示唆する。
ドライバー別:最速ハミルトン、最遅ストロール
最終日の残り1時間を切ってルイス・ハミルトン(フェラーリ)が刻んだ1分16秒348という本テストの全体最速タイムは、昨年の決勝レースにおける最速タイムに0.605秒差と迫るものだった。
2026年の新世代マシンのタイムが1周あたり1~2秒程度低下すると予想される中、ハミルトンのタイムはなかなかに興味深い。以下は昨年のスペインGPにおける各ラップタイムだ。
- レース最速ラップ:1分15秒743(ピアストリ)
- ポールタイム:1分11秒546(ピアストリ)
- FP1最速タイム:1分13秒718(ノリス)
フェラーリは、他のチームほど称賛を集めたわけではないが、作業は極めて順調に進んだ。さらに、テスト終盤には一気にタイムシートの上位に浮上し、力強く5日間を締めくくった。フェラーリが今回のマシンを「スペックA」と位置づけ、開幕戦に向けて別スペックを投入する方針であることを踏まえれば、好位置にいると言えよう。
史上4番目の若さでF1デビュー戦を迎える今季唯一のルーキー、アーヴィッド・リンブラッドも好印象を残した。チームメイトに0.4秒差をつけて12番手と、リアム・ローソンに遜色ない走りを見せた。
| 順位 | ドライバー | タイム | 差 | DAY |
|---|---|---|---|---|
| 1 | ハミルトン | 1:16.348 | 0.000 | 5 |
| 2 | ラッセル | 1:16.445 | 0.097 | 4 |
| 3 | ノリス | 1:16.594 | 0.246 | 5 |
| 4 | ルクレール | 1:16.653 | 0.305 | 5 |
| 5 | キミ・アントネッリ | 1:17.081 | 0.733 | 4 |
| 6 | ピアストリ | 1:17.446 | 1.098 | 5 |
| 7 | フェルスタッペン | 1:17.586 | 1.238 | 5 |
| 8 | ガスリー | 1:17.707 | 1.359 | 5 |
| 9 | ハジャー | 1:18.159 | 1.811 | 1 |
| 10 | オコン | 1:18.393 | 2.045 | 5 |
| 11 | ベアマン | 1:18.423 | 2.075 | 5 |
| 12 | リンブラッド | 1:18.451 | 2.103 | 4 |
| 13 | ローソン | 1:18.840 | 2.492 | 4 |
| 14 | コラピント | 1:19.150 | 2.802 | 3 |
| 15 | ヒュルケンベルグ | 1:19.870 | 3.522 | 5 |
| 16 | ボルトレート | 1:20.790 | 4.442 | 5 |
| 17 | アロンソ | 1:20.795 | 4.447 | 5 |
| 18 | ボッタス | 1:20.920 | 4.572 | 5 |
| 19 | ペレス | 1:21.024 | 4.676 | 4 |
| 20 | ストロール | 1:46.404 | 30.056 | 4 |
チーム別:最速フェラーリ、最遅キャデラック
| 順位 | チーム | タイム | 差 | DAY |
|---|---|---|---|---|
| 1 | フェラーリ ハミルトン |
1:16.348 | 0.000 | 5 |
| 2 | メルセデス ラッセル |
1:16.445 | 0.097 | 4 |
| 3 | マクラーレン ノリス |
1:16.594 | 0.246 | 5 |
| 4 | レッドブル フェルスタッペン |
1:17.586 | 1.238 | 5 |
| 5 | アルピーヌ ガスリー |
1:17.707 | 1.359 | 5 |
| 6 | ハース オコン |
1:18.393 | 2.045 | 5 |
| 7 | レーシングブルズ ローソン |
1:18.840 | 2.492 | 4 |
| 8 | アウディ ヒュルケンベルグ |
1:19.870 | 3.522 | 5 |
| 9 | アストンマーティン アロンソ |
1:20.795 | 4.447 | 5 |
| 10 | キャデラック ボッタス |
1:20.920 | 4.572 | 5 |
総周回数
Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.
メルセデスの2026年型F1マシン「W17」をドライブするアンドレア・キミ・アントネッリ、2026年1月26日F1バルセロナ・シェイクダウン初日(カタロニア・サーキット)
テスト中の数値で最も注目すべきは、ラップタイムではなく周回数だ。周回数は、マシンの信頼性(各パーツの耐久性やトラブルの有無)、データ収集量、車体開発およびセットアップ探索の進捗状況、ドライバーの習熟度や適応状況を示唆する指標となる。
チーム別:最多メルセデス、最小アストン
フェラーリは隠れた主役として注目を集めたが、それでも現時点でのベンチマークはメルセデスだと言わざるを得ない。路面状況が最も良かったと見られる最終日に走行していない点を踏まえても、その存在感は揺るぎない。ジョージ・ラッセルのベストタイムはハミルトンと0.097秒差だった。
メルセデスは全チーム中最多となる合計500周を走破した。これは新車「W17」の基礎設計が極めて堅牢であることを物語るものだ。さらに、電動パワーが大幅に増加し、MGU-Hが廃止された次世代メルセデス製PUの扱いやすさについても、ドライバー達は満足している様子だった。
一方、王者マクラーレンは決して生産的とは言えなかった。初日の立ち上がりが遅れ、2日目には燃料系トラブルで時間を失った。最終日には162周を重ね、合計は平均的な水準まで戻したものの、当初の想定には届かなかった。
当然のことながら、新規参戦組は苦戦を強いられた。アウディは3日間すべてで問題が発生し、赤旗を2回出すなどして、走行は243周にとどまった。キャデラックも164周にとどまり、ラップタイムでは4.6秒遅れで最下位となった。
だが、最大の敗者はウィリアムズだ。車体製造の遅延の影響で全日程を欠席し、他チームが最大2,300km以上の走行データを収集する中、開幕に向けて大きなハンデを負う形となった。
| 順位 | チーム | 周回数 | 差 | 距離(km) |
|---|---|---|---|---|
| 1 | メルセデス | 500 | 0 | 2,329 |
| 2 | フェラーリ | 428 | -72 | 1,993 |
| 3 | ハース | 391 | -109 | 1,821 |
| 4 | レッドブル | 350 | -150 | 1,630 |
| 5 | アルピーヌ | 349 | -151 | 1,625 |
| 6 | マクラーレン | 291 | -209 | 1,355 |
| 7 | レーシングブルズ | 272 | -228 | 1,267 |
| 8 | アウディ | 243 | -257 | 1,132 |
| 9 | キャデラック | 164 | -336 | 764 |
| 10 | アストンマーティン | 66 | -434 | 307 |
エンジン別:最多メルセデス、最小ホンダ
エンジン別の総周回数は、1,140周を走り込んだメルセデスを筆頭に、フェラーリ、レッドブル・フォードと続いた。1チームあたりの総周回数に換算しても最多はメルセデス(380周)で、フェラーリ(328周)、レッドブル・フォード(311周)とトップ3の並びは変わらない。
レッドブル初の自社製PUが示した堅実な信頼性は、メルセデス陣営にも強い印象を残した。ラッセルは初日に名指しで言及し、印象的で驚かされたと語った。多くが新規サプライヤーの苦戦を予想していた中、初テストの内容は期待以上だったと言える。
最少はホンダの66周だ。走行開始が大幅に遅れ、実質的に1日のみの走行にとどまったことが直結した結果だが、同時に供給先チーム数も影響した。この数字だけでPUの良否を判断することはできないが、「距離を稼ぐ」という観点で陣営間に差がついたのは事実であり、メルセデス陣営とは約5,000kmの差が生じた。
| 順位 | チーム | 周回数 | 差 | 距離(km) | 周回数/1チーム |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | メルセデス | 1140 | 0 | 5,309 | 380 |
| 2 | フェラーリ | 983 | -157 | 4,578 | 328 |
| 3 | RBフォード | 622 | -518 | 2,897 | 311 |
| 4 | アウディ | 243 | -897 | 1,132 | 243 |
| 5 | ホンダ | 66 | -1074 | 307 | 66 |
ドライバー別:最多ラッセル、最小ストロール
| 順位 | ドライバー | 周回数 | 差 | 距離(km) |
|---|---|---|---|---|
| 1 | ラッセル | 263 | 0 | 1,225 |
| 2 | オコン | 243 | -20 | 1,132 |
| 3 | キミ・アントネッリ | 237 | -26 | 1,104 |
| 4 | ガスリー | 231 | -32 | 1,076 |
| 5 | ルクレール | 229 | -34 | 1,066 |
| 6 | ハミルトン | 199 | -64 | 927 |
| 7 | リンブラッド | 167 | -96 | 778 |
| 8 | ノリス | 163 | -100 | 759 |
| 9 | ハジャー | 158 | -105 | 736 |
| 10 | ローソン | 152 | -111 | 708 |
| 11 | ヒュルケンベルグ | 149 | -114 | 694 |
| 12 | ベアマン | 148 | -115 | 689 |
| 13 | フェルスタッペン | 145 | -118 | 675 |
| 14 | ピアストリ | 128 | -135 | 596 |
| 15 | コラピント | 118 | -145 | 550 |
| 16 | ボルトレート | 94 | -169 | 438 |
| 17 | ボッタス | 87 | -176 | 405 |
| 18 | ペレス | 77 | -186 | 359 |
| 19 | アロンソ | 61 | -202 | 284 |
| 20 | ストロール | 5 | -258 | 23 |