アレックス・パロウ(チップ・ガナッシ)に敗北し涙を流すマーカス・エリクソン(アンドレッティ)、2025年5月25日第109回インディ500(インディアナポリス・モーター・スピードウェイ)
Courtesy Of Penske Entertainment

2025年インディ500結果変動:佐藤琢磨が昇格―複数台に技術違反、エリクソンは2位喪失

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第109回インディアナポリス500マイルレース(インディ500)の決勝翌日となる2025年5月26日、レース後の車検で技術違反が発覚し、2位フィニッシュのマーカス・エリクソン(アンドレッティ・グローバル)ら3名の順位が剥奪された。これにより、佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は繰り上がりで9位となった。

エリクソンはレース最終盤、アレックス・パロウ(チップ・ガナッシ)にオーバーテイクを許し、過去3大会で2度目となる2位に終わり、悔し涙を流した。だが、レース後の検査でエリクソン、6位のカイル・カークウッド(アンドレッティ)、12位のカラム・アイロット(プレマ)の車両に技術違反が発覚。いずれも最後尾グリッドに降格され、それぞれ31位〜33位に変更された。

2025年 第109回インディ500決勝正式結果
Pos Start Driver Gap PTS
1 6 アレックス・パロウ
Chip Ganassi #10
–.—- 58
2 7 デイビッド・マルーカス
A.J. Foyt Enterprises #4
1.1426 47
3 3 パトリシオ・オワード
Arrow McLaren #5
2.1327 46
4 5 フェリックス・ローゼンクヴィスト
Meyer Shank Racing w/ Curb-Agajanian #60
2.9464 40
5 15 サンティノ・フェルッチ
A.J. Foyt Enterprises #14
4.9902 30
6 18 クリスチャン・ラスムッセン
Ed Carpenter Racing #21
6.0274 29
7 8 クリスチャン・ルンガー
Arrow McLaren #7
9.2592 31
8 11 コナー・デイリー
Juncos Hollinger Racing #76
13.3125 25
9 2 佐藤琢磨
Rahal Letterman Lanigan Racing #75
16.9157 36
10 22 エリオ・カストロネベス
Meyer Shank Racing w/ Curb-Agajanian #6
59.6118 20
11 16 デブリン・デフランチェスコ
Rahal Letterman Lanigan Racing #30
01:02.103 20
12 20 ルイス・フォスター
Rahal Letterman Lanigan Racing #45
01:03.000 18
13 24 ノーラン・シーゲル
Arrow McLaren #6
1 lap 17
14 27 コルトン・ハータ
Andretti Global w/ Curb-Agajanian #26
1 lap 16
15 14 エド・カーペンター
Ed Carpenter Racing #33
1 lap 16
16 33 ウィル・パワー
Team Penske #12
1 lap 14
17 28 グレアム・レイホール
Rahal Letterman Lanigan Racing #15
1 lap 13
18 30 マーカス・アームストロング
Meyer Shank Racing w/ Curb-Agajanian #66
2 lap 12
19 26 ジャック・ハーヴィー
DRR-Cusick Motorsports #24
2 lap 12
20 4 スコット・ディクソン
Chip Ganassi #9
3 lap 19
21 25 ライアン・ハンター=レイ
DRR-Cusick Motorsports #23
29 lap 10
22 32 ジョセフ・ニューガーデン
Team Penske #2
65 lap 8
23 17 スティング・レイ・ロブ
Juncos Hollinger Racing #77
109 lap 7
24 19 カイル・ラーソン
Arrow McLaren #17
109 lap 6
25 13 キフィン・シンプソン
Chip Ganassi #8
109 lap 5
26 1 ロバート・シュワルツマン
Prema Racing #83
113 lap 18
27 31 リーナス・ヴィーケイ
Dale Coyne Racing #18
119 lap 5
28 12 アレキサンダー・ロッシ
Ed Carpenter Racing #20
127 lap 6
29 29 マルコ・アンドレッティ
Andretti Herta w/Marco & Curb-Agajanian #98
196 lap 5
30 10 スコット・マクラフリン
Team Penske #3
200 lap 8
31 9 マーカス・エリクソン
Andretti Global #28
0.6822 9
32 23 カイル・カークウッド
Andretti Global #27
3.9822 5
33 21 カラム・アイロット
Prema Racing #90
21.3918 5

アンドレッティ・グローバルの2台については、ダラーラ製エネルギーマネジメントシステム(EMS)のカバーおよびAアーム取付部に、未承認のスペーサーとパーツが使用されていたことが確認された。規定では、EMSカバーは供給されたままの状態で使用する必要があり、今回の改変は空力面でのアドバンテージを生む可能性があるとされた。

一方、アイロットのマシンについては、フロントウイングの左側エンドプレートが最低地上高および規定位置を満たしていなかったことが違反とされ、同様に最下位へと降格された。

これにより、レース結果は大きく変更され、デイビッド・マルーカス(A.J.フォイト)が2位、パトリシオ・オワード(マクラーレン)が3位に繰り上がり、11位でフィニッシュしていた佐藤琢磨も9位に昇格した。

アンドレッティとプレマの両チームにはそれぞれ10万ドル(約1,400万円)の罰金が科されたほか、両チームのチームマネージャーには次戦デトロイトGPでの出場停止という厳しい処分も下された。

今大会では、予選中にもチーム・ペンスキー陣営の車両に技術違反が見つかり、グリッド後方への降格処分が科されていた。相次ぐ違反発覚は、シリーズ全体の監査体制とチームの技術管理体制に対する信頼性を問う事態となっており、今後の再発防止策に注目が集まっている。