2024年F1競技規定の草案:テストルールの変更とカーフュー厳格化、パワーユニット年間割当の削減
2024年シーズンのF1スポーティング・レギュレーションに関する最新版の草案が公表された。新たにプレシーズンテストやカーフュー(深夜作業禁止令)、パワーユニットの年間上限基数に関するルールが変更・調整される見通しである事が分かった。
主に予算の観点から近年のF1はテスト走行が厳格に制限されている。ただ、走行距離や装着タイヤに制限はあるものの、デモンストレーション目的とプロモーション目的であれば、一定の条件下で現行マシンを走らせる事が許されている。
プロモーション目的、つまり俗に”フィルミングデー”と呼ばれ、シェイクダウンの際に頻繁に利用される走行枠に関しては従来、走行距離が100kmに制限されていたが、1チームにつき1日に1回のみという条件はあるものの200kmに倍増する。年に2回という割当に変更はない。
唯一無二の本格的テストセッションであるプレシーズンテストに関する規定も変更される。2023年はセーフティカーやVSC、赤旗などのシステム確認のために各日、10時から19時30分までの9時間30分枠が用意されたが、2024年は30分削減され従来どおりとなる。
また現行車両ではない旧車でのテストに関しては、テストパーツやセンサー、計測器類、ソフトウェアなど、現行世代のマシンに使われている如何なる要素も取り付けてはならないと明記された。
カーフューに関するルールも変更される。これは以下の3つの制限期間にパドックへの立ち入りを禁止するもので、各々の期間毎に例外規定が設けられている。例えば制限期間1で言うと、年に4回までであれば違反してもペナルティは科されない。
- 制限期間1:FP1開始42~29時間前…年4回まで例外
- 制限期間2:FP1開始18~4時間前…年3回まで例外
- 制限期間3:FP3開始14~3時間前…年2回まで例外
2024年は制限期間の1と2における例外が各々年2回に削減され、制限期間3がFP3開始15~3時間前に変更される見通しだ。
パワーユニットの年間上限基数も従来の数に戻される。
4月のアゼルバイジャンGPを前に行われたF1コミッションでルール変更が合意に至った事で、今季は各ドライバーがペナルティなしに使用可能なICE(内燃エンジン)、ターボチャージャー、MGU-H、MGU-Kの数が各々、3基から4基に増加した。
ただ、今季より2戦多い全24戦が計画されている来季は従来どおりの3基となる。
コンポーネント | 2023年 | 2024年 |
---|---|---|
ICE | 4 | 3 |
ターボ | 4 | 3 |
MGU-H | 4 | 3 |
MGU-K | 4 | 3 |
ES | 2 | 2 |
CE | 2 | 2 |
エキゾースト | 8 | 8 |