
FIA、2024年度のF1コスト上限審査結果を公表 ― 異例の遅延を経てアストン手続違反も制裁なし
国際自動車連盟(FIA)は10月28日、2024年F1シーズンにおけるコストキャップ(支出制限)規則への準拠状況を審査した結果を公表した。対象は全10チームと5つのパワーユニット(PU)メーカーで、違反が確認されたのはアストンマーチンのみだった。ただし、その内容は「極めて軽微な手続き上の不備」にとどまり、制裁措置は科されなかった。
メルセデス、フェラーリ、レッドブル、マクラーレンなど他の9チーム、そしてすべてのPUメーカー(メルセデス、フェラーリ、ホンダ、レッドブル・フォード、アウディ)は、規則に完全準拠していることが確認された。
発表の遅れが呼んだ憶測
今回の発表は例年より大幅に遅れた。これによりパドック内では、特に第20戦メキシコGPの週末に「いずれかのチームが重大な違反を犯したのではないか」という憶測が広がった。
過去2年間、FIAは9月中に審査結果を発表しており、コストキャップ制度が初めて導入された2021年シーズン(レッドブルが超過違反を犯した年)でさえ、結果は2022年10月初旬に公表されていた。
FIAによると、今回の審査プロセスは7か月に及んだ。その理由について、「財務規則の複雑さに加え、F1チームおよびPUメーカーが実施した開発活動の技術的側面と、それに関連するコスト処理を精査する必要があったため、特に時間を要した」と説明している。
違反内容は「書類の署名漏れ」
アストンは9月29日、FIAとの間で「違反合意契約(ABA)」を締結した。これは、手続き上の違反や軽微な支出超過(上限額の5%未満の超過)があった場合に、FIAが制裁措置を提案し、チーム側がそれを受け入れれば合意が成立するという仕組みだ。チームは違反を認め、制裁を履行し、異議申し立て権を放棄する必要がある。
FIAによると、アストンの支出総額はコストキャップの上限を下回っていた。ただし、既報の通り、提出書類に手続き上の不備が確認された。
FIAコストキャップ管理部門(CCA)の説明によれば、アストンは「チームの完全な管理外にある、例外的かつ予測不能な状況」に直面していたという。その影響で、独立監査法人による署名を取得できないまま、2025年3月31日の提出期限までにドラフト版の財務書類を提出。4月15日に署名を追加した正式版を再提出した。
また、CCAはアストンがこの違反によって「いかなる利益も得ず、また求めてもいなかった」と結論づけた。これらの点が軽減要素として考慮され、合意手続きにかかる費用をアストン側が負担する形にはなったものの、制裁措置そのものは科されなかった。