
V8導入論でF1給油復活案、なぜチーム首脳陣はこぞって反対するのか? 小松礼雄らが明かした懸念
2031年の導入が予定される次のF1レギュレーションにおいて、V8エンジンへの回帰議論が進む中、かつて採用されていたレース中の給油を復活させる案について、チーム側から否定的な意見が続出した。
ハイブリッド・システムの縮小やターボの廃止に関する議論と並行して検討されている項目の一つが、F1にとって2009年以来となるレース中の給油の復活だ。
2026年の規則下では、マシンに搭載される燃料はおよそ105kgとされるが、V8時代に給油が禁止されていたシーズンでは約150kgだった。
マシンの軽量化を目指す中、燃料量の増加によって軽量化の効果が相殺される事態を避けたいと考えている国際自動車連盟(FIA)は現在、給油やこれに関するコストについて研究調査を進めている。
こうした状況の中、ハースのチーム代表を務める小松礼雄、レーシング・ブルズのCEOピーター・バイエル、ウィリアムズのチーム代表ジェームズ・ヴァウルズは、いずれも給油の復活に否定的な見解を示した。
小松礼雄「観客にとって分かりづらい」
小松代表は、「個人的には、給油にはあまり賛成ではありません。本当に。というか、賛成ではないです」と明確に否定した。
給油時代を観戦者として見ていた際の印象を挙げ、「スタンドで観戦している側からすると、給油があるレースはとても分かりにくかったです。予選に関してもそうでした」と説明した。
「予選に関して私は、マシンが最も軽い状態でドライバーがすべてを出し切ってアタックするのが好きなんです」
「ですから、給油には賛成ではありません。重量やコストなど、あらゆる面で賛成できませんし、あまり好きではありません」
バイエル「危険な映像以外、ほぼ何ももたらさない」
バイエルはFIAで働いていた当時、F1でマネージング・ディレクターを務めていたロス・ブラウンらと、レースの見せ場を増やす方法を検討する作業部会に参加していた。その中で候補の一つに挙げられていた給油について、過去の映像やデータを調査したという。
その結果について、バイエルは「非常に派手で危険な映像がいくつかあったことを除けば、給油はF1にほとんど何ももたらさなかった。追い抜きの大半がピットレーンで起きるようになっただけだ」と説明した。
さらに、「実際、ショーとしての魅力をそれほど高めないことが示されている」として、復活に否定的な見解を示した。
ヴァウルズ「戦略が完全予測可能になってしまう」
ヴァウルズはまず、「ピットウォールでレーシングスーツを着ているとかなり暑いので、もう一度あれをやりたいとは思わない」と冗談を交えたうえで、給油を認めれば各マシンのピットストップのタイミングを「正確に予測できるようになる」と指摘した。
「燃料を使い切る直前まで走らせることになる。それが最も速いからだ。そうなると、2ストップだろうが3ストップだろうが1ストップだろうが、次に何が起きるかを予測できてしまう」
「今は外部への情報公開も非常に進んでいるため、誰もがそうした情報を得ることになり、それによってレースの駆け引きや先の読めなさがかなり失われることになると思う」
一方、ヴァウルズはマシンの軽量化そのものには「全面的に賛成」だと強調。そのうえで、「そのための解決策として給油を復活させるのは適切ではないと思う」と述べた。
給油は1994年に復活したものの、2009年を最後に禁止された。ピットでの火災を含む安全上の懸念に加え、重量のある給油設備を各グランプリに運ぶ際の輸送コストが理由とされている。