
F1オランダGP決勝展望:角田裕毅、入賞への一手は? タイヤ戦略考と天気予報、グリッド
日本時間8月23日(日)22時にスタートが予定されている2026年シーズンのF1第12戦オランダGPの決勝レース。ここでは、スターティンググリッド、外せない見どころ、そして予想されるタイヤ戦略と天候状況についてまとめる。
スターティング・グリッド
予選最下位に終わったセルジオ・ペレス(キャデラック)はパルクフェルメ下でサスペンションのセッティングを変更。ピットレーンからスタートする。
以下、各ドライバーの予選結果からの変動も併せて正式スターティンググリッドを記す。
| Pos | Driver | Team | Qualifying |
|---|---|---|---|
| 1 | L.ノリス | マクラーレン | 1(-) |
| 2 | G.ラッセル | メルセデス | 2(-) |
| 3 | A.K.アントネッリ | メルセデス | 3(-) |
| 4 | O.ピアストリ | マクラーレン | 4(-) |
| 5 | L.ハミルトン | フェラーリ | 5(-) |
| 6 | C.ルクレール | フェラーリ | 6(-) |
| 7 | M.フェルスタッペン | レッドブル | 7(-) |
| 8 | L.ローソン | レッドブル | 8(-) |
| 9 | G.ボルトレート | アウディ | 9(-) |
| 10 | A.リンブラッド | レーシングブルズ | 10(-) |
| 11 | P.ガスリー | アルピーヌ | 11(-) |
| 12 | 角田裕毅 | レーシングブルズ | 12(-) |
| 13 | N.ヒュルケンベルグ | アウディ | 13(-) |
| 14 | F.コラピント | アルピーヌ | 14(-) |
| 15 | E.オコン | ハース | 15(-) |
| 16 | A.アルボン | ウィリアムズ | 16(-) |
| 17 | C.サインツ | ウィリアムズ | 17(-) |
| 18 | F.アロンソ | アストンマーティン | 18(-) |
| 19 | L.ストロール | アストンマーティン | 19(-) |
| 20 | O.ベアマン | ハース | 20(-) |
| 21 | V.ボッタス | キャデラック | 21(-) |
| 22 | S.ペレス | キャデラック | 22(-) |
レースの模様はフジテレビNEXTおよびFODで完全生配信・生中継される。
オランダGP決勝の見どころと注目ポイント
緊急登板の角田裕毅とローソン:予選の健闘を活かした入賞への挑戦
Courtesy Of Red Bull Content Pool
雨のパドックを傘を差して歩く角田裕毅(レーシング・ブルズ)とトレーナー兼パフォーマンスコーチのジョン・ヌーナン、2026年8月21日(金) F1オランダGP(ザントフォールト・サーキット)
何と言っても注目は角田裕毅だ。アイザック・ハジャーが手首を負傷したことを受け、レッドブルはリアム・ローソンを代役に起用した。リザーブドライバーの角田は、これに伴って空いたレーシング・ブルズのシートに復帰した。
スプリント形式の週末だけに、2人に与えられたプラクティスはわずか1回のみ。さらに角田に至っては、2026年導入の新世代マシンをドライブするのは今回が初めてという状況だった。
それにもかかわらず角田は、2つの予選でともに12番手をマーク。本予選ではQ3進出に0.102秒差まで迫り、今シーズンを通して同じVCARB 03をドライブしてきたアーヴィッド・リンブラッドに肉薄する走りを見せた。
ポイント圏内まではあと2つ順位を上げる必要があるが、ザントフォールト・サーキットは追い抜きが難しく、入賞は決して射程圏内とはいえない。前進のためにはスタートと戦略を含め、あらゆる機会を最大限に生かすことが求められる。
一方のローソンは8番グリッドを確保した。後方には、スプリントにおいてレースペースで遅れを取ったガブリエル・ボルトレート(アウディ)やピエール・ガスリー(アルピーヌ)が並ぶ。限られた走行時間を通して得た学びと経験をポイントに変えられるか、注目される。
ポールのノリスに迫るメルセデス:タイヤ摩耗とタイトル争いの思惑
Courtesy Of McLaren
予選後に笑顔でジョージ・ラッセル(メルセデス)と話すランド・ノリス(マクラーレン)、2026年8月22日(土) F1オランダGP(ザントフォールト・サーキット)
ランド・ノリス(マクラーレン)は、前戦ハンガリーGPに続くポール・トゥ・ウインで今季2勝目を目指す。今シーズンはメルセデス勢以外に3人が勝利を挙げているが、2勝以上を記録したドライバーはいない。
予選でのポールは見事だったが、決勝でもその優位性を維持できるかどうかは疑わしい。ノリスは、後退したスプリントでの課題、つまりリアタイヤのデグラデーションは依然として解決できていないとしており、決勝に向けては「厳しい戦いになる」と分析している。
予選での勝因の一つは、MCL40が持つ高速コーナーでの優れたパフォーマンスにあったが、レース中にその性能を十分に発揮することは難しい。ザントフォールトはタイヤの摩耗が激しく、この強みを生かそうとするとタイヤに過度の負荷がかかるためだ。
このことはラッセルも認識しており、「僕らのレースカーは彼らよりわずかに速いはずだ」と自信を示している。さらに、メルセデス勢はノリスの後方2番手、3番手につけているため、チームとして戦略的にノリスへプレッシャーをかけることもできる。
一方、ノリスに追い風が吹く可能性も残されている。ラッセルは土曜のスプリントで、アントネッリが持つドライバーズ選手権のリードを3ポイント削った。本戦ではさらに大きなポイントが動く。ともに初タイトルを狙うラッセルとアントネッリの争いが激化すれば、その間にノリスがリードを広げる可能性もある。
さらに、2021年にF1カレンダーに復帰して以降、オランダGPでポールポジション以外から勝利したドライバーがいないことも、ノリスにとっては追い風となる材料だ。
抜けないザントフォールトの鉄則:スタート直後の攻防とピット戦略
Courtesy Of McLaren
リードするジョージ・ラッセル(メルセデス)を追うランド・ノリス(マクラーレン)とシャルル・ルクレール(フェラーリ)、2026年8月22日(土) F1オランダGPスプリント(ザントフォールト・サーキット)
今シーズンは各舞台で数多くの接近戦とオーバーテイクが見られてきたが、ザントフォールトでのスプリントで記録された追い抜きは非常に限られた。もともとオーバーテイクが難しいコースだが、2026年型マシンになっても、その傾向は変わっていない。
それでも、シャルル・ルクレール(フェラーリ)がスプリントでノリスをかわしたように、ターン1には仕掛ける余地がある。オーバーテイク・モードとバッテリーを適切に使えば、前車に接近してブレーキング勝負に持ち込むことが可能だ。
タイヤが安定したパフォーマンスを発揮し始める前、特にスタート直後は限られた貴重な順位アップのチャンスとなり得るだけに、オープニングラップでは普段以上に積極的な攻防が見られる可能性がある。
それでもなお膠着状態が続く展開となれば、天候やアクシデントはさておき、各チームの戦略的判断がレース結果を揺さぶる唯一の手段になるかもしれない。
タイヤ戦略:1ストップ本命も僅差の選択肢
Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.
青空の下で関係者が歩くザントフォールト・サーキット、2026年8月20日(木) F1オランダGPメディアデー
ピレリの最新シミュレーションで最速と見込まれているのは、「ミディアム→ハード」の1ストップだ。推奨されるピット・ウインドウは27~33周目となる。
ピレリのモータースポーツ・ディレクターを務めるダリオ・マッラフスキは、「デグラデーション、そして摩耗に関するすべてのデータを勘案すると、1ストップが主流になると考えている。追い抜きがかなり難しそうであるためで、2ストップではトラフィックに引っかかる可能性があるためだ」と説明する。
次善策は「ソフト→ハード」の1ストップと予想されている。両戦略の差はレース全体で約1秒に過ぎないと見積もられており、この場合の推奨ピット・ウインドウは、ミディアム→ハードより1周早い26~32周目とされる。
この戦略には、スタート時に強力なグリップを生かせるという利点がある一方、レース展開に応じてスティントを延ばすことが難しいという難点がある。また、予選Q3組の中で新品ソフトを残しているのはフェラーリ勢とマックス・フェルスタッペンのみであり、誰もが採れる戦略ではない。角田も1セットを温存している。
さらに、中古ソフトを履いたルクレールがスプリントで速さを見せたことで、「ミディアム→ソフト」の1ストップも選択肢に浮上している。最初のスティントを35~41周目まで引っ張る必要があるものの、交換直後のソフトはハードを履くマシンに対して約0.6秒のペース差を持つと予測されている。
本命は1ストップとされるが、新品タイヤのアドバンテージを生かしてコース上で追い抜けるのであれば、総レースタイムでは2ストップも遜色ない。
2ストップの本命は「ミディアム→ハード→ソフト」で、交換の目安は24~30周目と46~52周目。「ソフト→ミディアム→ミディアム」なら21~27周目と45~51周目となる。
オーバーテイクが難しければトラックポジション重視の1ストップが有利になる一方、新品タイヤで順位を上げられるなら2ストップも選択肢となる。いずれにせよ保守的に行くのであれば、ピットストップの回数に関係なく、スタートにはミディアムを選択することになりそうだ。
決勝の天気:北海からの強風と急な雨に警戒
Courtesy Of McLaren
曇り空のザントフォールト・サーキットを走行するF1マシン、2026年8月21日(金) F1オランダGP FP1
現時点で、日曜のザントフォールトが本格的な降雨に見舞われる可能性は低い。レース時間帯の降水確率は20%ほどで、予報は晴れ時々曇りとなっている。
ただし、海沿いに位置するザントフォールトでは、土曜日にも短時間で強い雨雲が発達しており、雨の可能性を完全に排除することはできない。
天候以上に確かなのは、北海から吹き込む風だ。土曜日ほどは強くない見込みだが、突風を受ければダウンフォースが失われ、マシンがスライドするリスクがある。この場合、タイヤの摩耗やオーバーヒートを招く恐れがあり、タイヤ戦略は2ストップへ傾く可能性がある。
1ストップと2ストップの予想タイム差が小さいだけに、風は戦略に直接的な影響を与え得る要素といえる。