
2026年F1ルールの“設計者”、アルピーヌ電撃移籍か―サマービルの知見は再起を左右する?
国際自動車連盟(FIA)の空力部門責任者ジェイソン・サマービルが辞表を提出し、2026年シーズン中にアルピーヌF1チームへ合流する見通しであることが明らかになった。英専門誌『Autosport』が報じた。
サマービルは、可変空力仕様の「アクティブ・エアロダイナミクス」を含む、2026年から導入される新たなF1技術レギュレーションの策定において中心的役割を担ってきた人物だ。“ルールの中身を知り尽くしたキーマン”の加入は、アルピーヌに大きなメリットをもたらす可能性がある。

F1の空力部門を率いるジェイソン・サマービル(写真中央)
キャデラックではなく、古巣の同僚が待つアルピーヌへ
一部報道では、サマービルの移籍先として新規参入を目指すキャデラックの名前が挙げられていた。だが、実際の行き先はエンストンに本拠を置くアルピーヌであると報じられている。
サマービルは先週辞表を提出し、今後6ヶ月間はガーデニング休暇(守秘義務期間)に入るとされる。休暇明けとなる2026年5月に正式加入する見通しだ。
アルピーヌでは、マネージング・ディレクターのスティーブ・ニールセンと再会することになる。両名はかつてFIAおよびFOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)で共に働いた経験があり、気心の知れた間柄だ。
どん底からの復活に向けた”答え合わせ”
アルピーヌにとってサマービルの加入は、まさに”最強の補強”となり得る。
2026年の新規定に向け早期からリソースを集中してきた代償として、アルピーヌは2025年シーズンを通して深刻な低迷に直面している。シーズン残り3戦の時点でランキングは最下位――このままフィニッシュする可能性が極めて高い。
2025年を犠牲にしてまで賭けた2026年シーズンに向け、そのルールブックを書いた本人を迎え入れることは、自分たちの開発の方向性が正しいのかどうかを照合する上で、またグレーゾーンを突く上で、何より強力な武器となり得る。
FIAは機密情報へのアクセスを即時遮断
FIAによれば、サマービルは退職までの期間、F1チームに関する機密情報や、各チームが準備を進めている2026年の開発状況には一切アクセスできない状態に置かれるという。FIAの広報担当者は次のようにコメントし、サマービルの離脱を認めた。
「空力責任者であるジェイソン・サマービルがFIAを離れることを確認した。ジェイソンは今後、ガーデニング休暇を含む通知期間を全うすることになる」
「この期間中、ジェイソンは機密性を持たないF1以外のプロジェクトに専念する。機密情報へのアクセス権限は標準的な退職手続きに従い既に調整済みだ」
サマービルの業務は当面、FIAシングルシーター部門責任者を務めるヤン・モンショーらが引き継ぐ見込みとされる。
ウィリアムズ、トヨタ、ロータスで空力部門の要職を歴任し、2017年以降はF1およびFIAでルール作りを担ってきたサマービル。その知見は、かつての名門チームであるアルピーヌを再び表彰台争いへと押し上げる原動力となるのか。注目が集まる。