
インディカーの雄コルトン・ハータ、F1参戦へ異例の決断…強豪ハイテックからF2フル参戦へ
インディカー・シリーズで通算9勝を誇るコルトン・ハータが、数カ月にわたり複数チームと交渉を重ねた末、強豪ハイテックと契約し、2026年のFIA-F2選手権にフル参戦することが2025年10月21日、正式発表された。
北米最高峰カテゴリーのトップドライバーが、ジュニアシリーズであるF2に参戦するのは異例のことであり、F1転向に向けた第一歩として注目される。ハータはキャデラックF1チームのテストドライバーとしての役割を担いつつ、F1直下の舞台で経験を積むことになる。
「F2に参戦できることを本当に楽しみにしている。ヨーロッパでレースを学び、世界最高レベルの若手ドライバーたちと競い合える素晴らしい機会だ」とハータは語る。
さらに「F1と同じ週末にレースをすることは、キャデラックF1の一員としての成長の助けになるはずだ。その環境を直接体験できるからね」と意欲を示した。
キャデラックF1チームを率いるダン・トウリスCEOも、ハータの決断を高く評価。「F2参戦は欧州で求められるレース技術を高めるだけでなく、我々チームとの一体感を強めることにもつながる」と述べ、F1昇格に向けた実践的ステップとして位置づけていることを明らかにした。
欧州再挑戦の背景 ― F1昇格への合理的判断
インディカーのトップドライバーとはいえ、F1参戦に必要なスーパーライセンス取得にはFIAが定める40ポイントの実績が求められる。その条件を満たすには、F2を含むFIA公認カテゴリーでの経験が不可欠だ。
インディカーもスーパーライセンスの対象カテゴリーだが、北米最高峰だけに競争は極めて熾烈で、十分なポイントを獲得するのは容易ではない。さらに現実的には、将来のグランプリ参戦を見据える上で、ヨーロッパのサーキットを学び、ピレリタイヤを使いこなす経験を積むことは不可欠だ。
ハータがアメリカ国内に留まらずヨーロッパを選んだのは、F1昇格への最短ルートを描いた合理的な決断と言える。
ハータにとって欧州レースは未知の舞台ではない。
2015年には英国MSAフォーミュラ(現ブリティッシュF4)で勝利を上げ、翌2016年にはユーロフォーミュラ・オープンで複数のポールポジションと勝利を記録。同年のBRDCブリティッシュF3(現GB3)でもブランズ・ハッチで優勝を飾った。今回の挑戦は、かつての欧州経験を礎に、再び世界の舞台へ戻る“原点回帰”でもある。
ハイテック―F2強豪チームの素顔
ハイテックは2002年に設立され、2015年にオリバー・オークス(元アルピーヌF1チーム代表)によって再始動した英国拠点のチームだ。2025年よりトヨタ・ガズー・レーシング(TGR)と戦略的パートナーシップを締結。「ハイテックTGR」を名乗っている。
F2とF3で確かな実績を重ねており、今季もウィリアムズF1ジュニアのルーク・ブラウニングがモンツァで優勝、フェラーリ育成のディーノ・ベガノビッチがバクーで勝利するなど好調を維持。ここ5戦で最も多くのポイントを獲得し、コンストラクターズタイトル争いに名を連ねている。
2026年もハイテックはTGRとの提携を維持しつつ、ドライバーラインナップを刷新。宮田莉朋がハータのチームメイトを務める。