
佐藤琢磨、ラリー初参戦へ―ホンダ学園と挑む第28回モンテカルロ・ヒストリック
2度のインディ500チャンピオンに輝く佐藤琢磨が、2026年2月に開催される「第28回ラリー・モンテカルロ・ヒストリック」にアンバサダー兼ドライバーとして参戦することが発表された。
今回の挑戦は、学校法人ホンダ学園の創立50周年記念プロジェクトの第一弾として行われるもので、佐藤は1975年式の初代シビックRSを駆り、南仏アルプスの山岳路を舞台に精度を競うレギュラリティラリーに挑む。
F1やインディカーなど、シングルシーターでの戦いに慣れた佐藤にとって、ラリー形式の国際競技はこれが初挑戦となる。
学生と共に作る参戦体制
今回の参戦は、ホンダ学園と佐藤がタッグを組む特別企画で、約30名の学生が有志で参加し、参戦車両2台のレストアや整備、部品調達から現地での運営支援、ナビゲーター業務までを担当する。
部品やマニュアルが現存しない中でのレストアは困難を極め、学生にとってはまさに「逆境への挑戦」となる。常務理事の中嶋歩は「仲間と共に課題を乗り越え、技術者として、そして人として大きく成長してくれることを願っています」と述べた。
Courtesy Of Honda Motor Co., Ltd
撮影に臨むアンバサダー兼ドライバーの佐藤琢磨と学校法人ホンダ学園の学生有志、2025年8月7日第28回ラリー・モンテカルロ・ヒストリックへの参戦発表会にて
佐藤も「ホンダ学園の皆さんとはこれまでも多くの交流を重ねてきましたが、今回は50周年記念のプロジェクトを通じて、共に世界に挑戦できることを大変光栄に思います」「全力で取り組んでいきたい」と意欲を示した。
さらに、「学生の皆さんが“挑戦のスピリット”と“あきらめない姿勢”を存分に発揮し、仲間と共に成長していく姿を見るのが、今からとても楽しみ」「世界で活躍できるエンジニアの育成にもつながるのではないかと、大いに期待しています」と述べた。
Courtesy Of Honda Motor Co., Ltd
アンバサダー兼ドライバーの佐藤琢磨、2025年8月7日第28回ラリー・モンテカルロ・ヒストリックへの参戦発表会にて
ホンダ学園は1976年、ホンダ創業者であり初代校長を務めた本田宗一郎の「技術だけでなく、世界に歓迎される人間を作りたい」という志のもとに創設され、“技術力と人間力”を兼ね備えた人材の育成を目指してきた。
現在はホンダ テクニカル カレッジ関東と関西の2拠点体制を敷き、50年にわたり実践重視の教育を行いながら、「挑戦する姿勢」を軸とした人づくりに取り組んでいる。
この挑戦は「技術の伝承」と「挑戦文化の醸成」を目的とするホンダ学園の記念企画の第一弾であり、今後は第二弾、第三弾として、日本全国を巡る「Cubチャレンジ」なども予定されている。
モンテカルロ・ヒストリックという舞台
ラリー・モンテカルロ・ヒストリックは、F1モナコGPの主催者としても知られるモナコ自動車クラブ(ACM)が主催する伝統のイベントだ。モナコを起点に、南仏アルプスの複数都市を巡る過酷な山岳ラリーとして名高い。
出場資格が与えられるのは、1911年から1986年1月までの「ラリー・モンテカルロ」に参戦実績のある車種、または同等仕様のヒストリックカーとなる。ホンダ車では初代シビックのみが該当する。
競技はレギュラリティラリー形式で行われ、総距離約2,000〜3,000kmを定められた平均速度で正確に走行することが求められる。つまり、純粋なスピードではなく、設定されたペースをどれだけ正確に守れるかという精度の高さが勝敗を分ける。