
2ヶ月間で状況一変…ウォルフの思惑が露呈、”再燃したフェルスタッペン移籍説”をめぐり質問攻め
僅か2ヶ月で状況は一変した。2025年F1第11戦オーストリアGPの週末、メルセデスのチーム代表トト・ウォルフは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)をチームに迎え入れる可能性を模索し、「密室での話し合い」を続けていることを、半ば認めた。
ジョージ・ラッセルは今季限りでメルセデスとの契約が満了を迎えるが、現時点では延長契約に至っていない。その背景についてラッセルは週末に先立ち、メルセデスがフェルスタッペンとの交渉を進めていることに関係していると仄めかす“爆弾発言”を放ち、波紋を広げた。
この率直すぎる発言は、その翌日にウォルフを質問攻めに追い込むこととなった。わずか2ヶ月前に「彼とは話し合っていない」と断言していただけに、今回の一件でその言葉との整合性が問われる形となった。
Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.
プラクティスに向けてガレージ内で準備するジョージ・ラッセル(メルセデス)、2025年6月27日(金) F1オーストリアGP フリー走行(レッドブル・リンク)
ラッセルの発言を受け、ウォルフは「まず、ジョージとの契約に遅れがあるというのは誤解だ。スケジュールは以前から明確に定まっていたし、長年の関係がある中で、それは“遅れ”と呼ぶような状況ではない」と述べ、交渉は計画通りに進んでいると主張した。
一方で、「世界最高の自動車ブランドを率いるチーム代表として、4度のワールドチャンピオンが今後どう動くのかに関心を持つのは当然だ」と語り、詳細には踏み込まなかったものの、「人々は話をし、可能性を探るものだ」と、フェルスタッペン側との接触を完全には否定しなかった。
さらに、ラッセルとフェルスタッペンの将来的なタッグ実現の可能性について問われると、「ニコ・ロズベルグとルイス・ハミルトンがチームメイトとしてタイトル争いをしていた時期もあったし、それに比べれば何であれ容易な話だ」と発言。過去の実例を引き合いに、潜在的な緊張関係に対する懸念を一蹴した。
そして、フェルスタッペンに対しメルセデスへの移籍を決断する期限を設定しているのかと問われると、現時点で詳細な条件面について話し合っている事実はないとしつつも、「密室での話し合い」が進行していることを、ほぼ認めた。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
プラクティスに向けてガレージに入るマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2025年6月27日(金) F1オーストリアGP(レッドブル・リンク)
フェルスタッペンがオーストリアGP前の記者会見で2026年以降の去就についての明言を避けたことで、移籍をめぐる憶測はさらに加速した。
レッドブルの現行契約には、ドライバーズ・ランキングの順位を条件とするパフォーマンス条項が含まれていることが判明しており、特定の条件下では契約を解除できる余地が残されている。そのため、今後の成績次第では、フェルスタッペンがチームを離れる可能性も完全には否定できない状況だ。
ウォルフは、フェルスタッペン獲得に向けた模索の最中にあることを事実上認めたが、それはラッセルの能力に対する疑念によるものではないことを強調した。契約延長を得るためにラッセルは何をすべきかという質問に対し、ウォルフは次のように答えた。
「何もする必要はない。彼は10年近く我々のプログラムにいて、常に期待に応えてきたし、今もそうだ」
「この3年、我々は彼にチャンピオンを狙えるクルマを用意できていない。それは完全に我々の責任だ。でも、クルマが良かった時に彼はレースに勝っている。彼はそのポテンシャルをきっちり引き出せるドライバーだ」
「とはいえ、毎年のように初夏になると、契約交渉に関する話題がメディアで加速したり、情報不足のせいで憶測が膨らんだりするのはよくあることだ。30年間にわたるビジネス経験から言うが、契約交渉というのは公衆の面前で行うものではない。すべては通常通りだし、計画通りに進んでいる」