
南アフリカGP、F1復帰に向け前進―FIAがキャラミの”グレード1改修計画”を承認
F1南アフリカGPの復活に向け、大きな一歩が踏み出された。国際自動車連盟(FIA)が、キャラミ・サーキットの「グレード1」認証取得に向けた最終設計案を正式に承認した。これにより、F1開催に必要な安全基準を満たすための改修工事が進められることとなった。
30年ぶりのF1開催へ、伝統のキャラミが前進
1961年に建設されたキャラミ・サーキットは、1967年から1985年、さらに1992年と1993年にF1南アフリカGPを開催した歴史あるコースだ。2016年には「グレード2」取得を目指して全面改修が行われたが、今回新たにグレード1取得に向けた計画が承認されたことで、F1開催の要件を満たす見通しが立った。
今回の設計案を手がけたのは、マイアミGPの舞台であるマイアミ・インターナショナル・オートドロームの設計でも知られる英エイペックス・サーキット・デザイン。5年にわたり準備が進められてきた。
Courtesy Of Honda Motor Co., Ltd
ホンダのF1マシン「RA273」を駆るジョン・サーティース、1967年南アフリカGP、キャラミGPサーキットにて
「軽微な改修」で最新の安全基準に適合
改修はコースレイアウトそのものには手を加えず、主に安全基準の現代化に焦点が当てられている。具体的には、ランオフエリアの拡張、バリアおよびデブリフェンスの強化、縁石や排水機能の改善などが含まれる。
エイペックスの創業者であるクライヴ・ボーウェンは、「今回の改修はエンジニアリング的には軽微だが、すでに高水準であるサーキットにさらなる安全性を加え、グレード1基準に適合させるものだ」と説明する。
政府主導の誘致活動、最短開催は2027年以降か
F1誘致は南アフリカ政府による国家的プロジェクトとして推進されており、スポーツ文化芸術省は「2026年または2027年からの10年契約での継続開催」を目指している。今年初めには、開催地の選定に向けた正式な関心表明の募集も行われた。
ただし、FIAが先日発表した2026年の暫定カレンダーに南アフリカGPは含まれておらず、実際の開催は2027年以降になる可能性が高い。
今回の承認により、キャラミには今後3年間の改修期間が与えられる。なお、一部の工事については、南アフリカGPがF1カレンダーに加わり、キャラミが開催候補地として選定されることを条件に実施される。
開催地としてはキャラミが最有力とされているが、ほかにもケープタウン市街地での開催案、およびルワンダ・キガリ近郊に建設が計画されている新サーキットでの開催案が提出されている。F1のステファノ・ドメニカリCEOは先月、この件に関する正式な合意には「なお時間を要する」との見解を示している。
Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.
1990年11月18日に南アフリカのキャラミGPサーキットで開催されたドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)
「アフリカの象徴として」オーナーが語る復活への誓い
カヤラミ・サーキットのオーナーであるトビー・ヴェンター氏は、「これは南アフリカのモータースポーツにとって決定的な瞬間だ」と語る。
「2014年にキャラミを取得した際、我々はこのサーキットを世界レベルの会場としてだけでなく、アフリカ全体のモータースポーツの象徴として蘇らせると誓った。FIAによる今回の承認は、その旅路における大きな前進だ」