
ガチ勢は楽しめる? 角田&アルボンの興味深い示唆―映画『F1』プレミア、”鈴鹿への憧れ”を明かすブラッド・ピット
ブラッド・ピット主演の映画『F1:The Movie(邦題:F1/エフワン)』のワールドプレミアが、現地時間6月16日、米ニューヨーク・タイムズスクエアで開催された。日本人唯一の現役F1ドライバー、角田裕毅も会場に姿を見せ、同作での“共演”や完成度について、現役レーサーの視点から評価した。
会場となったタイムズスクエアは、映画のロゴやポスターで華やかに飾られ、劇中に登場する架空チーム「エイペックスGP」のマシンも展示されるなど、まさに映画一色の演出となった。レッドカーペットには約500人のファンと70人以上の報道陣が集まり、出演陣や制作陣がフォーマルな装いで姿を現した。
角田「ブラッドに抜かれるシーンばかり!」
角田は撮影時を振り返り、「ブラッドはかなりやり手だなと思いました。映画から彼のアグレッシブさやF1の臨場感がすごく伝わってきました」とコメント。また、実際にピットとサーキットで時間を共にしたといい、「レースウィークによく現場に来ていました。とても気軽に話しかけてくれるナイスガイでした」とその人柄についても触れた。
さらに、劇中での自身の役どころについても、「映画自体はすごくカッコよく仕上がっています。ただ残念ながら、ほとんどのシーンで僕はブラッドに追い抜かれていましたけど(笑)」と、ユーモアを交えて会場を沸かせた。「F1のスピード感がしっかり伝わって、自分がドライバーになったような気分になれると思います」と、その迫力ある映像に太鼓判を押した。
Courtesy Of WARNER BROS. ENT.
角田裕毅(レッドブル・レーシング)、6月16日に米ニューヨーク・タイムズスクエアで行われた映画『F1:The Movie(邦題:F1/エフワン)』のワールドプレミアにて
映画をきっかけに新しいF1ファンが増えると思うかと問われると、「そうなってくれたら嬉しいですね。F1が実際どう動いているのかがきちんとわかることが一番大切です。『ドライブ・トゥ・サバイブ』では描き切れていない部分までうまく表現されています」と分析した。
一方で、F1パドックからは「過剰なクラッシュ描写」や「ハリウッド的脚色」に対する批判的な声も出ている。既存のF1ファンが楽しめるポイントを尋ねられると、角田は「…うーん…そうですね、、ブラッドがカッコいいところ、ですかね。僕は彼を見ているだけで楽しかったです」と、少し考え込む様子を見せながら答えた。
何回か笑っちゃうと思う!とアルボン
同じくプレミアに参加したアレックス・アルボンは、「本物のF1ファンなら、何回か笑っちゃうと思う!いくつか“イースターエッグ”的な要素があって、それがすごく上手く作られてるんだ。レースを理解してる人なら、細かいところまで楽しめると思う」と評価した。
また、カルロス・サインツは撮影時の感覚について、「変な感じだったよ。ブラッド(ピッド)と並んで何回かグリッドウォークしたんだけど、『え、何してんの?』って感じで、むしろ『俺、ここにいていいの?』って思ったくらい!だって、すぐ隣に映画スターがいるんだもん」と、その非日常的な経験を振り返った。
実際のサーキットでの撮影
本作最大の特徴は、実際のグランプリ週末に本物のサーキットを使って撮影された点にある。プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーは、「ブラッドとダムソン(イドリス)を実際にシルバーストンに立たせた。14万人の観客が見守る中、彼らは時速300kmで走った。誰も彼らがマシンに乗っているとは気付かなかったし、完璧にやり遂げた」と裏側を明かした。
こうしたリアリティへの徹底したこだわりはF1関係者からも評価されている。ブラッカイマーによると「モナコでF1ドライバーたちに映画を見せたら絶賛された。本物の人々に『よくやってくれた』と言ってもらえて最高だ」と述べている。
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ブラッド・ピットとルイス・ハミルトン(フェラーリ)、ダムソン・イドリス、6月16日に米ニューヨーク・タイムズスクエアで行われた映画『F1:The Movie(邦題:F1/エフワン)』のワールドプレミアにて
ピット、鈴鹿への憧れと日本へのメッセージ
主演のブラッド・ピットも、F1への魅力にすっかり取りつかれた様子で、「まだ走ったことがないけど、ぜひ走ってみたいサーキットがある。どのドライバーも口をそろえて”一番好き”とか”一番テクニカル”と言うのは鈴鹿だ。いつか絶対に挑戦してみたい」と鈴鹿サーキットへの憧れを熱弁。
日本のファンに向けては「日本のみんな、また日本に行ける日を楽しみにしている」とメッセージを送った。
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ブラッド・ピットとハビエル・バルデム、6月16日に米ニューヨーク・タイムズスクエアで行われた映画『F1:The Movie(邦題:F1/エフワン)』のワールドプレミアにて
監督は『トップガン マーヴェリック』のジョセフ・コシンスキー。再びブラッカイマーとタッグを組み、“地上版トップガン”と呼ぶにふさわしい作品を創り上げた。
プロジェクトには7度のワールドチャンピオンであるルイス・ハミルトンもプロデューサーとして参加し、F1描写について厳格な監修を行った。ブラッカイマーはハミルトンの貢献について、「我々がすること全てがF1の世界に忠実であるように確信させてくれた」と評価している。
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ジョセフ・コシンスキー監督、6月16日に米ニューヨーク・タイムズスクエアで行われた映画『F1:The Movie(邦題:F1/エフワン)』のワールドプレミアにて
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ケリー・コンドン、6月16日に米ニューヨーク・タイムズスクエアで行われた映画『F1:The Movie(邦題:F1/エフワン)』のワールドプレミアにて
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ハビエル・バルデム、6月16日に米ニューヨーク・タイムズスクエアで行われた映画『F1:The Movie(邦題:F1/エフワン)』のワールドプレミアにて
映画『F1/エフワン』は6月27日(金)より全国で公開される。4D、Dolby Cinema、ScreenX、IMAXでの上映も予定されており、かつてない“体感型レース映画”が、この夏、日本中を熱狂させることになりそうだ。