FIAに更なる混乱…後任F2レースディレクターの電撃解任でマルケスがカタール兼務、15年来のスチュワードも退任
F1カタールGPの開幕を直前に控え、国際自動車連盟(FIA)がFIA-F2選手権のレースディレクターを解任したことが報じられた。これに伴い、F1レースディレクターを務めるルイ・マルケスが、その業務を兼任する見通しとなった。
ニールス・ヴィティヒの後任として、F2/F3レースディレクターを務めていたマルケスが前戦ラスベガスGPよりF1レースディレクターに就任したことに伴い、ジャネット・タンがその後任に任命されたものの、英Autosportによれば、実際に指揮を取る前に突如、解任されたという。
マルケスのサポート役を担ってきたタンは、今週末のロサイル・インターナショナル・サーキットでのイベントより、F2のレースディレクターを務める予定だった。
F1レースディレクターがサポートレースで助言的な役割を担うことは珍しくないが、今回の人事により、新任のマルケスの業務量が大幅に増加することは明らかだ。
混乱の人事はこれに留まらない。この報道に先立っては、過去15シーズンに渡ってFIAスチュワードを担当してきたティム・メイヤーの退任が報じられたばかりだった。自ら進んで職を辞したのではなく、解任との情報もある。
具体的な理由は明らかにされていないものの、マクラーレンの共同創設者であるテディ・メイヤーの息子であるメイヤーは、今年10月のアメリカGPでスチュワードを担当しており、そのレース後に発生した約200人のファンがコースに侵入する事件との関連が指摘されている。
こうした一連の動きは、FIA内部での混乱が続いているとの印象を強めている。過去18か月間で多数の職員がFIAを去っており、その背景にはベン・スレイエム会長との対立があると見られている。
ベン・スレイエムは、物議を醸した2021年のF1アブダビGPの数週間後にFIA会長に選出されて以来、さまざまな論争に巻き込まれてきた。
アブダビではマックス・フェルスタッペンが初のワールドチャンピオンに輝いたが、当時のレースディレクター、マイケル・マシが「人的ミス」を理由に数カ月後に解任された。
その翌年には、FIAのモータースポーツ担当暫定事務局長を務めていたシャイラ・アン・ラオが、ベン・スレイエムによる「容認できない行為」を記した書簡を残し、就任発表から半年足らずの2022年12月に退任した。これをめぐり、FIA倫理委員会の有力メンバーも調査の是非を巡って辞任した。
昨年12月には、FIA女性委員会のデボラ・メイヤー委員長が辞任し、年明け早々にはスポーティングディレクターのスティーブ・ニールセン及びテクニカルディレクターのティム・ゴスの両名が、就任1年を待たずに離職した。
また、今年3月には、F1アカデミーシリーズのマネージングディレクターであるスージー・ウォルフが、夫との関係に基づく利益相反疑惑を巡る調査に関して、フランスでFIAを提訴する事態も発生した。
さらに5月には、FIAの最高経営責任者(CEO)を務めていたナタリー・ロビンが、就任から僅か18か月で辞任し、10月にはコミュニケーション担当ディレクターのルーク・スキッパーとモビリティ担当事務総長のヤコブ・バングスガードの両名がFIAを去った。