F1ドライバー達はFIAに「うんざりしている」とラッセル…ヴィティヒ”電撃解任劇”を経て不信感さらに
GPDA(F1ドライバー組合)のディレクターを務めるジョージ・ラッセル(メルセデス)は、F1の統括団体である国際自動車連盟(FIA)の一連の対応について、多くのドライバーが「少しうんざりしている」と述べ、不信感を表明した。
記者会見で”Fワード”を口にしたことを理由に、マックス・フェルスタッペンとシャルル・ルクレールが処罰されたことを受け、GPDAは前戦サンパウロGPを経て、FIAのモハメド・ベン・スレイエム会長も「言葉遣いや口調に配慮すべき」とする声明を発表した。
全20名のF1ドライバーが所属するGPDAはさらに、言葉の使い方を含め、FIAから「些細な事柄について指導を受ける必要はない」と主張し、子供扱いするのではなく「大人」として扱うよう要求するとともに、ドライバーに科した罰金の使途に対する懸念を表明した。
この異例の声明が発表された直後にFIAは、ドライバーの不信感をさらに招く不透明な決定を下した。シーズン残り3戦という最終盤にも拘らず、FIAはF1レースディレクターのニールス・ヴィティヒが退任したと発表した。しかしながら、実際には退任ではなく解任と見られる。
この決定についてラッセルはラスベガスGPの開幕を前に、相談どころか、ドライバー側には「一切」知らされておらず「誰もが驚いたと思う」と明かした。
「この状況にうんざりしているドライバーは数多くいると思う。事態が悪い方向に向かっているようにしか思えない」とラッセルは語った。
GPDAが公開書簡を通して懸念を表明するのは2017年以来、7年ぶりだ。FIAは現時点でこれに回答しておらず、ドライバーとFIAの関係は現在、少なからず緊張状態にある。
レースに直接影響を与える立場のヴィティヒだけでなく、FIAのコンプライアンス責任者を務めていたパオロ・バサーリも人知れず解任されたと伝えられており、FIAの不透明性は増す一方だ。
ラッセルはヴィティヒの交代劇に触れて、ドライバー側に相談や事前連絡がなかったことが透明性の欠如を示す「典型的な例」であるとしてFIAを批判するとともに、GPDAの公開書簡については「FIAにプレッシャーをかけるためのものだ」と語った。
ヴィティヒの後任には、FIA-F2選手権およびF3のレースディレクターを務めてきたルイ・マルケスが就任した。
ヴィティヒの仕事ぶりについてラッセルは、完全に満足できるものではなかったと認めつつも、「解任を繰り返すだけが解決策じゃない。どうなるか様子を見るつもりだけど、変化を起こすということは、たとえ2歩前進するにせよ、1歩後退しなきゃならないものだ」と語った。
ケビン・マグヌッセン(ハース)は、かつてのF1ディレクター、故チャーリー・ホワイティング時代との違いを強調し、「彼は僕らの意見に心から耳を傾けてくれる人で、つながりを感じることができたけど、今では対立しているように感じる。もっと密接な関係であるべきだし、僕らはもっと彼らを手助けできる」と語った。
ランド・ノリス(マクラーレン)は「何が起きているのかは分からないけど、物事が理想的に進んでいないのは確かだ」と指摘した。