F1:米事例と類似も異なる裁定、何故フェルスタッペンはメキシコで罰せられたのか?
スチュワードの構成メンバーが異なるのは確かだが、F1アメリカGPと似通ったインシデントであったにも拘わらず、2024年のF1メキシコGPでマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、2回に渡ってペナルティを受けた。
フェルスタッペンは10周目のターン4でノリスをコース外に押し出したとして、さらに続くターン8では、コース外に出てアドバンテージを得たとして、各々で10秒のタイムペナルティを受けた。
ターン4:ノリスに権利
ターン4での一件についてジョニー・ハーバートを含む4名の競技審判団は、ノリスには一切の非がないと説明した。
フェルスタッペンのアウト側からオーバーテイクを試みた際のノリスについてスチュワードは「コーナーの入り口、エイペックス、出口にかけてフェルスタッペンに先行していた」と指摘した。
また、コース外に出ることを「強いられなければ」、ノリスはコース上でオーバーテイクを完了させたはずだとして、フェルスタッペンが他車をコース外に追いやることを禁じたFIA国際競技規則(ISC)付則L第4章2b条に違反したと結論付けた。
当初、フェルスタッペンにペナルティポイントは科されなかったが、後にスチュワードは文書を訂正し、2点のペナルティポイントを与えた。これにより過去12ヶ月間の累積点は6ポイントに達した。
これは1週間前のオースティンでのケースと類似するが、ノリスに「コーナーに対する権利」があった点が異なる。
アメリカGPでノリスは、コーナーのアウト側からフェルスタッペンに仕掛けたものの、コーナーのエイペックスでフェルスタッペンと同一線上に到達できず、「コーナーに対する権利」がないと判断された。
ノリスはその状態でコースアウトし、コースに復帰するに際してフェルスタッペンの前に出た。
ターン8:立場の違い
メキシコシティのターン8での一件は、フェルスタッペンがノリスをイン側から追い抜こうと仕掛けたことによるものだった。
スチュワードは、ターン8のエイペックスでノリスに先行していたことを指摘し、フェルスタッペンには当該コーナーでの「権利があった」としつつも、コース内で追い抜きを決めることができずにコース外に出た挙げ句、ノリスをコース外に追い出したと判断した。
そして、「コース外に出て永続的なアドバンテージ」を得てポジションを維持したとして、10秒ペナルティを科す決定を下した。こちらに関しては、ペナルティポイントが科されることはなかった。
これもオースティンのケースと類似するが、各々の立場が逆だった。
オースティンでフェルスタッペンは、ノリスに仕掛けられる立場にあったが、逆にメキシコシティでは、イン側からオーバーテイクを仕掛ける立場だった。
故にフェルスタッペンはコース内に留まることが求められたが、そうすることはできず、ノリスを連れ立ってコース外に飛び出した。
2024年F1第20戦メキシコGPの決勝レースでは、カルロス・サインツがポール・トゥ・ウインを飾り、ランド・ノリスが2位、シャルル・ルクレールが3位に続く結果となった。
インテルラゴス・サーキットを舞台とする次戦サンパウロGPは、11月1日のフリー走行1で幕を開ける。今季5回目のスプリントが予定される。