F1アゼルバイジャン:タイヤ戦略考と気になる天気、ペナ適用後のグリッド
日本時間9月15日(日)20時にスタートを迎える2024年シーズンのF1第17戦アゼルバイジャンGPのスターティング・グリッドが発表された。予選結果からの変動、および予想されるタイヤ戦略、気になる天気を見ていこう。
スターティンググリッド
周冠宇(ザウバー)がパワーユニット交換に伴う最後尾スタート命令を受け、ピエール・ガスリー(アルピーヌ)が燃料流量規定違反で予選失格となり、エステバン・オコン(アルピーヌ)とルイス・ハミルトン(メルセデス)がパルクフェルメ規定違反でピットレーンスタートとなったため、予選結果とグリッドに相違が生じた。
ハミルトンは予選7番手であるため、フェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)以下のドライバーのグリッドが、それぞれ1つずつ繰り上がった。PUペナルティにもかかわらず、周冠宇は2ポジションアップの17番グリッドに並ぶ。
ポールポジションに着くのは、前戦イタリアGPに続く2連勝を狙うシャルル・ルクレール(フェラーリ)だ。隣の2番グリッドには2戦連続でオスカー・ピアストリ(マクラーレン)が並ぶ。
ルクレールは4大会連続でバクーのポールを手にしているが、未だに一度も勝利を収めたことがない。
以下が正式なスターティンググリッド。ガスリーが失格する前の予選暫定結果からの変動値を合わせて記す。
Pos | Driver | Team | Qualifying |
---|---|---|---|
1 | C.ルクレール | フェラーリ | 1(-) |
2 | O.ピアストリ | マクラーレン | 2(-) |
3 | C.サインツ | フェラーリ | 3(-) |
4 | S.ペレス | レッドブル | 4(-) |
5 | G.ラッセル | メルセデス | 5(-) |
6 | M.フェルスタッペン | レッドブル | 6(-) |
7 | F.アロンソ | アストンマーチン | 8(+1) |
8 | F.コラピント | ウィリアムズ | 9(+1) |
9 | A.アルボン | ウィリアムズ | 10(+1) |
10 | O.ベアマン | ハース | 11(+1) |
11 | 角田裕毅 | RB ホンダRBPT | 12(+1) |
12 | N.ヒュルケンベルグ | ハース | 14(+2) |
13 | L.ストロール | アストンマーチン | 15(+2) |
14 | D.リカルド | RB ホンダRBPT | 16(+2) |
15 | L.ノリス | マクラーレン | 17(+2) |
16 | V.ボッタス | ザウバー | 18(+2) |
17 | 周冠宇 | ザウバー | 19(+2) |
18 | P.ガスリー | アルピーヌ | 13(-5) |
19 | L.ハミルトン | メルセデス | 7(-12) |
20 | E.オコン | アルピーヌ | 20(-) |
レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで完全生配信・生中継される。
想定されるタイヤ戦略
おそらくは例年と異なり、高圧洗浄が行われていないためだろうが、今年の路面は酷く遅く、ルクレールのポールタイムは去年より1秒以上遅かった。
とは言え、ピレリのシミュレーションによると、最速のタイヤストラテジーに変わりはなく、理論上は今年も「ミディアムとハードを使った1ストップが最速のオプションであることは間違いない」とピレリのモータースポーツ部門を率いるマリオ・イゾラは説明する。
「レース後半にセーフティーカーが出た場合にのみ、2ストップ戦略が現実的な選択肢となるだろう。多くのドライバーがレースに向けてC3タイヤを2セット温存しているのはそれが理由だと思う」
スタートタイヤはハード、あるいはミディアムのどちらが良いのだろうか?
ハードを選んだ場合はスタート直後の数周で防戦一方となる可能性があるが、ミディアムスタート勢がピットインした時にトラックポジションを得ることできる。前戦イタリアGPではマックス・フェルスタッペンがこの戦略を取った。
ミディアムを選んだ場合はデグラデーション、特にリアのオーバーヒートに注意が必要で、路面状態が芳しくないため、場合によってはグレイニングに見舞われる可能性もある。
一発逆転を狙わなければならない16番グリッドのランド・ノリス(マクラーレン)のようなドライバーは、アグレッシブな戦略を取ってくるかもしれない。
低ダウンフォース・パッケージが持ち込まれるサーキットはDRSの効果が小さくなるため原則的にオーバーテイクが難しい。これは、DRSトレインに捕まってダーティーエアーに晒され続け、ペースが上げられない状況に陥る可能性があるということだ。
回避するには、かなり早い段階でピットストップを行って一旦、後方に下がり、クリーンエアーを存分に受けて本来のペースで走り続ける戦略が考えられる。
なお昨年は、ニック・デ・フリースがクラッシュしたことで早々にセーフティーカー(SC)が導入されたため、以下のように大部分が11周目までにピットストップを消化した。トップ10フィニッシャーは全て、ミディアム、ハードと繋ぐ1ストッパーだった。
気になる天気は…
日曜のバクーは終日、晴れる見通しで、午後の降水確率は0%と、ドライレースが期待できる。スタート時刻の気温は27℃と予想されており、概ね予選と同じコンディションが見込まれる。
雨が降らないからと言って、クリーンなレースになるとは限らないのがバクーだ。過去5大会では、86%確率でSCあるいはバーチャル・セーフティーカーが導入されている。