F1オーストリアGP決勝レーススタート直後のホームストレートの様子、2024年6月30日レッドブル・リンクにて
Courtesy Of Red Bull Content Pool

残8周の衝撃を経てラッセルが2年ぶりV!フェルスタッペンとノリスが衝突…角田14位 / F1オーストリアGP 2024 《決勝》結果と詳報

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2024年のFIA-F1世界選手権第11戦オーストリアGPは、残り8周で発生したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とランド・ノリス(マクラーレン)の衝突事故を経て、ジョージ・ラッセル(メルセデス)が2年ぶりの優勝を飾る衝撃的な形で幕を下ろした。角田裕毅(RBフォーミュラ1)は14位に終わった。

引き金を引いたのは71周のレースの51周目に行われた最終2回目のピットストップだった。フェルスタッペンは2番手ノリスに7秒半差を付けてリードしていたものの、中古のミディアムに履き替える際に左リアの交換に手間取り6.5秒をロス。これにより、同じ周に新品ミディアムに履き替えたノリスは一気にその差を縮め、コース復帰時に両者のギャップは3秒にまで縮まった。

残り18周でフェルスタッペンのDRSを捉えたノリスは、59周目のターン3で一旦、首位を奪ったものの、コース外に飛び出したため順位を返上。これが4度目のトラックリミット違反となり5秒ペナルティを受けた。フェルスタッペンは無線を通して「クルマが何かおかしい。グリップがない」と訴えた。

フェルスタッペンの厳しいディフェンスに不満を漏らしながらもノリスは幾度となくトップを狙い、そして訪れた64周目のターン3で接触した。ノリスは左後輪が、フェルスタッペンは右前輪がパンクし、スロー走行する2台を横目にラッセルがトップに立った。

フェルスタッペンはソフトタイヤに交換してコースに戻り5位でフィニッシュしたが、パンクを経てピットへと戻る最中にクルマに深刻なダメージを負ったノリスはリタイヤした。

衝突の責任を問われたフェルスタッペンには10秒ペナルティが科されたが、それでもルイス・ハミルトン(メルセデス)に31秒差をつけ5位を維持した。

デブリ回収のために導入されたバーチャル・セーフティーカー(VSC)を経て、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)は高速のターン6のアウト側からカルロス・サインツ(フェラーリ)を交わして2番手に浮上。ラッセルを猛追したが1.906秒及ばなかった。

ラッセルはレッドブル・リンクでの初の表彰台に立ち、2022年のサンパウロGP以来、33レースぶりとなるキャリア2勝目を飾った。

サインツはトップから4秒遅れの3位表彰台に滑り込み、1回目のピットストップの際にピット入口の白線を横切ったとして5秒ペナルティを受けたルイス・ハミルトン(メルセデス)がトップ3から20秒遅れの4位に続いた。

大混乱のトップ争いの裏ではハースが見事なレースを戦った。タイヤのデグラデーションが大きいレッドブル・リンクで先行ピットストップを繰り返し、ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)はセルジオ・ペレス(レッドブル)を抑えて6位、ケビン・マグヌッセン(ハース)は8位と、ダブル入賞を果たした。

ポイント圏外に終わった角田裕毅とは対照的に、ハースと同じく早めのピットストップ戦略を採ったチームメイトのダニエル・リカルドは9位でチェッカーを受け2ポイントを持ち帰った。

ピエール・ガスリーはアルピーヌのチームメイト、エステバン・オコンとの接触スレスレのワイルドな勝負に打ち勝ち10位でフィニッシュした。

シャルル・ルクレール(フェラーリ)は1周目のターン1でピアストリと接触。フロントウイングを破損し、交換のために即座のピットストップを強いられ最後尾に転落したが、苦しみながらもレースを諦めず、ポイントには届かなかったものの11位まで挽回した。

レース概要

決勝は日本時間30日(日)22時にブラックアウトを迎え、1周4318mのコースを71周する事で争われた。現地シュピールベルクは晴れ、チャンピオンシップポイントを争うレースのフォーメーションラップは気温29℃、路面48℃のドライコンディションで開始された。

公式タイヤサプライヤーのピレリは最も柔らかいレンジのC3からC5までのコンパウンドを投入。パルクフェルメ規定違反に伴うピットレーンスタートの周冠宇(ザウバー)のみハードを、その他はミディアムをスタートタイヤに選択した。

ドライバー別タイヤ戦略、2024年6月30日F1オーストリアGP決勝レース (1)Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

ドライバー別タイヤ戦略、2024年6月30日F1オーストリアGP決勝レース (1)

気温及び路面温度の変化、2024年6月30日F1オーストリアGP決勝レースCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

気温及び路面温度の変化、2024年6月30日F1オーストリアGP決勝レース

1周目、リカルドは行き場を失いガスリーに対してポジションを失い12番手に後退した。続くターン4でペレスに追いやられる形となったピアストリは7番手にポジションを落とした。

角田裕毅はオープニングラップでアロンソに先行を許すも、2ラップ目のターン1で交わして13番手に浮上。僚友リカルドの後ろについた。

ハミルトンはスタート直後のターン1でサインツを攻略。3周目のターン3でチームメイトを交わして表彰台圏内3番手にポジションを上げたものの、ターン4で追い抜きを許した。サインツのオーバーテイクに関しては、コース外に出てアドバンテージを得た疑いがあるとされたため、後に順位を譲って5番手に後退した。

フェルスタッペンはジワジワとギャップを築いていき、10周目には後方ノリスに4秒の差をつけた。

先陣を切って最初にピットストップを動いたのはマグヌッセンとリカルド。11周目にそれぞれハードタイヤに交換した。8番手を走行していたヒュルケンベルグは翌周に同じくハードに履き替えチームメイトの前でコースに戻った。

ハース、ウィリアムズ、リカルド、そしてアロンソが早々とピットストップを消化した一方、 アルピーヌ勢と角田裕毅、ランス・ストロールはスティントを引っ張る戦略を取った。

角田裕毅は中団グループの中で誰よりも長く第1スティントを引っ張り、21周目にハードに履き替え、最終的に10位入賞を果たすことになるガスリーの後方16番手でコースに復帰した。

上位勢は、ノリスに5.6秒差をつけるラップリーダーのフェルスタッペンが23周目の終わりにピットイン。ハードタイヤに履き替えた。ノリスも同じ周にハードを履いた。これによりリーダーに浮上したピアストリは2周のリードラップを楽しんだ後、ハードタイヤに交換して6番手でコースに戻った。

22周目、12位争いを繰り広げるアロンソがターン3で周冠宇(ザウバー)と接触。10秒ペナルティを受けた。また、その2周後にはピットエントリーの白線を横切ったとしてハミルトンに5秒ペナルティが科され、ピットレーンの制限速度を超過したとしてペレスにも5秒ペナルティの決定が下された。

33周目からはアルピーヌ勢のピットウォール冷や汗バトルが展開された。25周目に2台揃ってアロンソを交わすと、ガスリーはオコンを追い抜くチャンスを掴んだが、オコンはそれを察知。ガスリーをコース外に追いやり接触寸前となった。無線で不満を表明したガスリーは41周目、ようやくチームメイトを交わして8番手に順位を上げた。

第2スティントに向け角田裕毅はアルボンにアンダーカットを許すも、37周目のターン3でオーバーテイク。ポジションを戻して13番手に浮上したが、44周目に最後のピットストップを行いハードタイヤに履き替えると、再びアルボンの後方でコースに戻った。

その後は57周目にルクレールにも交わされ16番手にまで後退したが、接触によりノリスがリタイヤし、ピットエントリーの白線を横切ったとしてアルボンが5秒ペナルティを受けため、最終14位となった。

2024年F1第11戦オーストリアGP決勝リザルト

Pos No Driver Team Laps Time PTS
1 63 ジョージ・ラッセル メルセデス 71 1:24:22.798 25
2 81 オスカー・ピアストリ マクラーレン・メルセデス 71 +1.906s 18
3 55 カルロス・サインツ フェラーリ 71 +4.533s 15
4 44 ルイス・ハミルトン メルセデス 71 +23.142s 12
5 1 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダRBPT 71 +37.253s 10
6 27 ニコ・ヒュルケンベルグ ハース・フェラーリ 71 +54.088s 8
7 11 セルジオ・ペレス レッドブル・ホンダRBPT 71 +54.672s 6
8 20 ケビン・マグヌッセン ハース・フェラーリ 71 +60.355s 4
9 3 ダニエル・リカルド RB ホンダRBPT 71 +61.169s 2
10 10 ピエール・ガスリー アルピーヌ・ルノー 71 +61.766s 1
11 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 71 +67.056s 0
12 31 エステバン・オコン アルピーヌ・ルノー 71 +68.325s 0
13 18 ランス・ストロール アストンマーチン・メルセデス 70 +1 lap 0
14 22 角田裕毅 RB ホンダRBPT 70 +1 lap 0
15 23 アレックス・アルボン ウィリアムズ・メルセデス 70 +1 lap 0
16 77 バルテリ・ボッタス ザウバー・フェラーリ 70 +1 lap 0
17 24 周冠宇 ザウバー・フェラーリ 70 +1 lap 0
18 14 フェルナンド・アロンソ アストンマーチン・メルセデス 70 +1 lap 0
19 2 ローガン・サージェント ウィリアムズ・メルセデス 69 +2 laps 0
20 4 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 64 DNF 0

コンディション

天気晴れ
気温29℃
路面温度48℃

セッション概要

グランプリ名 F1オーストリアGP
レース種別 決勝
レース開始日時

サーキット

名称 レッドブル・リンク
設立 1969年
全長 4318m
コーナー数 10
周回方向 時計回り

F1オーストリアGP特集