ウィリアムズF1、ライバルチームからの大量採用を発表…元アルピーヌ技術責任者マット・ハーマンを含む26名を起用
ウィリアムズはF1第11戦オーストリアGPに先立ち、名門復権に向けてライバルチームから引き抜いた5名のベテランエンジニアと、新設された最高情報分析責任者(CIAO)の採用を含む大規模人事を発表した。
ウィリアムズは2024年シーズンのこれまでに計26名を新たに雇用した。これにはレッドブルからの4名、アルピーヌからの10名、そしてメルセデスとフェラーリからの数名の引き抜き組が含まれている。特に空力部門の強化に重点を置いて11名を採用し、デザイン部門に13名を加えた。
シーズン序盤の不振を受けてチームを去ったアルピーヌの元テクニカル・ディレクターにして、メルセデスのV6ハイブリッド支配に繋がるF1パワーユニットの開発に貢献したパワートレイン工学のスペシャリスト、マット・ハーマン(Matt Harman)はサマーブレイク後にデザイン・ディレクターに就任する。
フェラーリの元パフォーマンス分析部長、ファブリス・モンケード(Fabrice Moncade)は7月1日付でコンピューティング・サイエンス部門のチーフエンジニアとしてウィリアムズに加わる。F1での17年に渡るキャリアを通してマクラーレンやザウバーで活躍してきたモンケードは、F1における近代的ラップ・シミュレーションの先駆者として知られる人物で、メルセデス在籍時には2台のチャンピオンマシンに携わった。
ハースの元主任空力エンジニアで、セバスチャン・ベッテルのチャンピオンシップ獲得時にレッドブルで働いていたフアン・モリーナ(Juan Molina)はチーフエアロダイナミシストとして7月15日付で着任する。
ジョーダン、フォース・インディア、ザウバー、マルシャ、マクラーレンを含め、モータースポーツ業界で25年の経験を持つアルピーヌの元パフォーマンス部門トップ、リチャード・フリス(Richard Frith)はパフォーマンス・システム部門の責任者としてウィリアムズに加わる。
元レッドブルのスティーブ・ウィンスタンリー(Steve Winstanley)は複合材料及び構造部門のチーフエンジニアに任命された。ウィンスタンリーはF1での22年に渡るキャリアのうち14年をレッドブルで過ごし、この間に6回のダブルタイトル獲得に貢献した。
これら5名の上級エンジニアは、昨年11月にウィリアムズに加わった最高技術責任者、パット・フライの下で働くことになる。
さらにウィリアムズは、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HP)で働いていた人工知能のスペシャリスト、ソリン・チェラン(Sorin Cheran)をCIAOとして迎え入れた。チェランはデータ処理に特化した役割を担う。
一連の採用についてチーム代表を務めるジェームズ・ヴァウルズは、将来的にウィリアムズをタイトル争いに復帰させるための重要なステップであると述べた。
「我々はトップ争いに戻るべく取り組んでいる。経験豊富でチャンピオンシップを制した才能を他のチームから引き寄せることができるというのは、我々の歩んでいる旅に対する大きな信頼を示すものだ」とヴァウルズは述べた。
「ウィリアムズは勝つために必要な投資を行っている。これは始まりに過ぎない。今後数ヶ月でさらに多くの人材を迎える準備をしている」