ルノーE-Techのロゴがエンジンカバーに掲出されたアルピーヌの2024年型F1マシンA524
Courtesy Of Alpine Racing

ルノー、F1エンジン供給者からの撤退を検討との報道「アルピーヌ・ホンダ」誕生の可能性も

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仏大手自動車メーカー、ルノーが、FIA-F1世界選手権におけるパワーユニット(PU)サプライヤーからの撤退を検討しており、供給先で傘下のアルピーヌが他のエンジンメーカーとの協議を開始したと英AUTOSPORTが報じた。

報道によるとルノーは、2026年型PUの開発を中止してアルピーヌをカスタマーチームに転換する計画を評価、検討しており、これを受けてアルピーヌのブルーノ・ファミン代表が「代替案の可能性」を探るためにライバルメーカーと話し合いを行っているという。

アルピーヌ・モータースポーツのバイス・プレジデント(VP)兼F1チーム代表を務めるブルーノ・ファミン、2024年FIA世界耐久選手権(WEC)スパにてCourtesy Of Alpine

アルピーヌ・モータースポーツのバイス・プレジデント(VP)兼F1チーム代表を務めるブルーノ・ファミン、2024年FIA世界耐久選手権(WEC)スパにて

2014年のV6ハイブリッド・ターボ導入以降、ルノー製PUはタイトル争いに絡めておらず、現行スペックはホンダやメルセデス、フェラーリに比べて15~25Kw (20~33馬力)ほど出力が劣っているとされ、2026年に導入される次世代PUでの巻き返しが疑問視されている。

既に次世代PUの開発は進められておりサンクコストの発生は避けられないが、それでも巨額の費用を節約することは可能であり、また、FIA世界耐久選手権(WEC)のハイパーカープロジェクトへの技術ノウハウの転用によって開発コストの一部を回収するシナリオも考えられる。

ルノーに代わる代替メーカーについては、複数チームへの供給経験を持つ既存メーカーが第一候補になると思われる。ザウバーがカスタマーの傘から抜けるフェラーリ、そして同様にアストンマーチンへの供給が終了するメルセデスは有力候補と言える。

フォードと提携して初の自社製PUに取り組むレッドブル・パワートレインズも候補となりうるが、新規のプロジェクトであることに加え、レッドブル・レーシングおよび姉妹チームであるRBへの供給が確定事項であることから、生産リソースやロジスティクスなどの観点から、更なる供給先を望む可能性は低いと考えられる。

供給先が見つからない場合、国際自動車連盟(FIA)はF1競技規定の定めに従い、”既存メーカーの中で最も供給数が少ないパワーユニット製造者”に対し、アルピーヌへの供給を要請することになる。

アウディの供給先はザウバーのみだが、新規参戦メーカーは要請の対象外であり、このシナリオにおいてアルピーヌに供給する義務はない。

ホンダは2021年末を以て撤退したが、今もテクニカルパートナーという肩書でレッドブル及びRBにパワーユニットを供給しており、最終的にFIAが白羽の矢を立てる可能性は高い。この場合、「アルピーヌ・ホンダ」誕生の可能性が考えられる。

なお、仮にルノーがPUサプライヤーから撤退した場合、英国エンストンのチームが以降もアルピーヌを名乗るのかどうかも注目される。