アルピーヌが救ったルノーのF1撤退…グリッドが9チームに減っていた可能性も
歯車が一つズレていれば、2021年シーズンのF1グリッドは9チームとなっていた可能性もありそうだ。アルピーヌなくして、ルノーがF1への参戦を継続する事はなかった。ローラン・ロッシCEOはそう考えている。
英国エンストンを本拠とする旧ルノーF1チームは、今季よりアルピーヌへと改称された。これは昨年のグループ・ルノー再編を受けて下された決定で、今後同グループにおいてはアルピーヌがスポーツブランドという位置づけでプロモートされる。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に猛威を奮った事で生産活動の停止を強いられるなど、自動車メーカーの業績見通しの悪化が懸念された昨年、ルノー筆頭株主であるフランスのル・メール財務相がルノーについて「消滅の可能性もある」と発言した事で、くすぶり続けていたルノーのF1撤退の噂が再燃した。
最終的にはルノーがF1から撤退する事はなく、看板をアルピーヌに切り替えての参戦が約束されたわけだが、グループ・ルノーのルカ・デ・メオCEOの下、市販車並びにF1を含めたモータースポーツ部門のすべてを監督する責任者となったローラン・ロッシCEOによると、アルピーヌという存在がなければ、グループ・ルノーは今日のグリッドに並んでいなかった可能性が高いという。
英オートウィークが伝えたところによると、ローラン・ロッシCEOはルノーのお膝元、仏オート・エブドとのインタビューの中で、F1への参戦は様々な理由において社内で常に疑問視されていたと明かし「コスト削減の必要が生じた際は常に、経営陣がこのプロジェクトの価値に疑いの目を向けていた」と語った。
参戦の意義が度々議論されたのは、自動車メーカーとしてのルノーの立ち位置にあった。
ローラン・ロッシCEOは「F1は我々の商材とはかけ離れていて、クリオやメガーヌを売るのに本当に役立つのか疑問視されていた」と説明。対照的に、アルピーヌはパフォーマンスを追求するF1という舞台で適切なブランドだと続けた。
「アルピーヌとF1という組み合わせは、ルノーと比べるとより理に叶っている」
「今年は23回のグランプリが行われる。2週間ごとに5億人の人々が我々のロゴを目にすることになるわけで、その効果は間違いなくある。特に、アストンマーチンやメルセデス、マクラーレンやフェラーリと一緒なのだから尚更だ」
アルピーヌF1チームはフェルナンド・アロンソとエステバン・オコンというラインアップと共に、3月28日の開幕バーレーンGPで初戦を迎える。