巨大なエアロレイクを取付けたウィリアムズFW43
Courtesy Of Williams

エアロレイク

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エアロレイク(英:aero rake)とは、空力特性の測定を目的としてレースカーに取り付けられる金網状の検査デバイスを指す。「エアロレーキ」と表記される場合もあるが、実際の発音は”レイク”に近いため、ここでは「エアロレイク」と呼ぶ。

機能と目的

F1ではタイヤの前後や車体後方などに取り付け、テストやフリー走行を通して空気の速度・流量・角度・圧力・温度等を測定する。

構造的に言えばエアロレイクはピトー管の集合体であるため、決して目新しいテクノロジーではない。ただし近年ではピトー管ではなく、ヨー角の変化の影響を受けにくいキールプローブが主流。0.01mm単位で測定する事ができる。

収集されたデータは、ガレージ内でリアルタイムで確認できるため、その場でセットアップを変更して問題に対処する事もできる。

使用例

リアタイヤの前方に巨大なエアロレイクを取り付けてカタロニア・サーキットを周回するマクラーレンのランド・ノリス、2022年2月23日F1バルセロナテストにてCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

リアタイヤの前方に巨大なエアロレイクを取り付けてカタロニア・サーキットを周回するマクラーレンのランド・ノリス、2022年2月23日F1バルセロナテストにて

タイヤの前後、サイドポッドやリアウィング、ディフューザーの後方などに装着して使用される事が多いが、アンダーフロアなど、取り付けられているかどうか傍からは判別できない場所に使われる事もある。

歴史

元々は風洞でのみ使用されていた同様のデバイスがルーツで、後に実車の空力特性を測定し、風洞実験や計算流体力学(CFD)データとの相関を探るためにコース上で使われるようになった。

rakeは「熊手」「探す」を意味する。確かにエアロレイクの形状は熊手に似ていなくもなく、”空気を探る”という意味でも腑に落ちるが由来は分からない。

この用語を登録した当時(2017年2月)は日本語の情報が一切存在しなかった。また認知されていなかったがために名称が分からず、検索すら出来ない謎の装置、として広く知られていた。

様々なバリエーション

全てのエアロレイクが同じ作りというわけではなく、目的や求める精度、測定値などによりチーム毎に異なる。2024年のF1プレシーズンテストではフェラーリが3Dプリントによる複雑なチタン製エアロレイクを持ち込んだ。

関連する空力測定ツール

クルマの空力を確認するための道具としては他にフロービジュアルペイント、通称フロービズ、ピトー管などがある。