角田裕毅はリカルドの「恩恵を受けている」とRBバイエル、”途方もない仕事”の陰の支柱
互いにノーポイントという意味ではコンストラクター選手権順位への貢献度はさほど変わらないものの、リザルトという点では角田裕毅が明白にダニエル・リカルドを一歩リードする展開が続いている。
しかしながら表立っては見えてこない舞台裏において、リカルドはチームに大きく貢献しており、角田裕毅はコース上でのパフォーマンスにおいて、その恩恵を受けているとRBのピーター・バイエルCEOは指摘する。
F1での4シーズン目を迎えた角田裕毅は、冬の間に来季レッドブル昇格最有力候補との見方が大勢を占めていた8度のグランプリウィナーを寄せ付けない走りを見せ、予選、決勝ともにチームメイトを引き離しており、首脳陣に感銘を与えている。
角田裕毅が5番手タイムを刻んだF1第3戦オーストラリアGPの初日FP1を経てバイエルは「ユーキは文字通り、ここ数ヶ月で大きく成長した。なぜならクルマの中で悪態をつくたびに、コンマ1秒を失うという事を理解したからだ」と語った。
「中団が本当に接近していてタイトな状況の中、彼は途方もない仕事をしてくれている。今朝もクルマの中で集中力を保ち、エンジニアたちと協力してセットアップを整え、コースに出て結果を出し、データを持ち帰ってくれた」
「だから我々は彼の仕事に本当に満足している」
予選では強固なトップ5チームの牙城を崩し、アストンマーチン勢を蹴散らして8番グリッドを持ち帰った。このパフォーマンスには鬼教官ヘルムート・マルコも思わず目を丸くした。
オーストラリアの「ServusTV」とのインタビューの中でマルコは「彼はまたもトップ10に入った。信じられないようなパフォーマンスだ。一貫して速さを見せ、ミスも犯さない」と語った。
「これまでの2レースでもそうだったが、この調子でポイント圏内に入れる事を願っている」
「上位5チームが本当に手強い状況でQ3の扉をこじ開けてみせた。信じられないほどの成果だ」
対照的にリカルドは中々、ラップをまとめ切れず、マルコからも激が飛ぶ有り様だが、バイエルは角田裕毅の好走の背景にリカルドの貢献があると指摘する。
「レースリザルトという観点ではトリッキーなスタートになっているが、チームメンバーとしての彼の働きは素晴らしい」とバイエルは語る。
「なぜなら彼は我々がクルマの弱点を見つける手助けをしてくれているからだ」
「特にエアロバランスとメカニカルバランスの関係を作り上げるという事に関して、彼は本当に役立ってくれている」
「究極的に言えば、ユーキは実際、その恩恵を受けている」
「スピードという事について言えば、ダニエルは本当に良くやっている。後はラップをまとめ上げるだけだ」
「我々は何よりもチームとして、彼を助けなければならない。ジェッダの時のように、ピットストップを台無しにして、酷いトラフィックの中に送り出すような事をしないようにする必要がある」
「今はミッドフィールドが本当にタイトだから、そういったトラフィックに巻き込まれれば、それでレースが終わってしまう」
「結果を残せるクルマを用意するのは我々の責任だ」
プレシーズン段階の期待とは裏腹に、新生RBフォーミュラ1チームは開幕2戦を終えてまだ、結果を残せておらず、ランキングでは辛うじてアルピーヌを抑えて9位という状況だ。
バイエルは、「中長期的な結果」を目指して組織変更と配置換えに注力した結果、「望んでいたほどパフォーマンス面に集中する事ができなかった」と認めた上で、「基本的なこと、つまり適切な土台を作る事が重要だった」と強調した。